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東京地方裁判所 平成4年(特わ)2234号 判決 1993年3月19日

本店所在地

東京都新宿区西新宿四丁目三番一二号 渡辺西新宿ビル七階

株式会社ビービー

(右代表者代表取締役 竹澤誠一)

本籍

東京都杉並区堀ノ内二丁目一番

住居

東京都世田谷区八幡山一丁目九番一〇-七〇一号

会社役員

竹澤誠一

昭和二七年七月一二日生

右の者らに対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、右のとおり判決する。

検察官 鈴木亨 弁護人 井上晴孝 各出席

主文

被告会社株式会社ビービーを罰金二、〇〇〇万円に、

被告人竹澤誠一を懲役一〇月にそれぞれ処する。

被告人竹澤誠一に対しこの裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(犯罪事実)

被告会社株式会社ビービー(平成三年七月一六日以前は、株式会社ビービースペース)は、東京都新宿区西新宿四丁目三番一二号渡辺西新宿ビル七階(平成三年七月二七日以前は、東京都杉並区高円寺南二丁目三七番二〇号)に本店を置き、店舗施設の設計及び施工等を目的とする資本金四五〇〇万円(平成四年九月一一日以前は四〇〇〇万円、平成三年七月一六日以前は一〇〇〇万円)の株式会社であり、被告人竹澤は、被告会社の代表取締役としてその業務全般を統括しているものであるが、被告人竹澤は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、架空外注費を計上するなどの方法により所得を秘匿した上、

第一  昭和六二年四月一日から同六三年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が、九八四二万四六三円(別紙1の修正損益計算書参照)であったにもかかわらず、昭和六三年五月三一日、東京都杉並区成田東四丁目一五番八号の所轄杉並税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が七六九万四三八〇円で、これに対する法人税額が一九八万九五〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(平成五年押第一〇四号の1)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額四〇〇五万七七〇〇円と右申告税額との差額三八〇六万八二〇〇円(別紙2の脱税額計算書参照)を免れ

第二  昭和六三年四月一日から平成元年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が四四三六万一四一〇円(別紙3の修正損益計算書参照)であったにもかかわらず、平成元年五月三一日、前記杉並税務署において、同税務署長に対し、その欠損金額が三二九万七四六〇円で、納付すべき法人税額はない旨の虚偽の法人税確定申告書(同押号の2)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額一七五七万七〇〇円(別紙4の脱税額計算書参照)を免れ

第三  平成元年年四月一日から同二年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が六七三三万七一一四円(別紙5の修正損益計算書参照)であったにもかかわらず、平成二年五月三一日、前記杉並税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が八三一万八四八二円で、これに対する法人税額が一九七万九一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(同押号の3)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額二五五八万六七〇〇円と右申告税額との差額二三六〇万七六〇〇円(別紙6の脱税額計算書参照)を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全部の事実につき

一  被告人竹澤の当公判廷における供述

一  被告人竹澤の検察官に対する供述調書(九通)

一  口石輝彦(三通)、高橋英樹、粱川俊雄こと粱錫俊、趙馥来、佐藤信光、飯田穣こと浦田穣、荒井尚美、竹澤吏枝の検察官に対する各供述調書

一  大蔵事務官作成の外注費調査書、交際費調査書、受取利息調査書、交際費等損金不算入額調査書

一  大蔵事務官作成の領置てん末書

一  登記官作成の登記簿謄本

判示第一の事実につき

一  大蔵事務官作成の売上調査書、材料仕入高調査書

一  押収してある法人税確定申告書(六三年三月期)一袋(平成五年押第一〇四号の1)

判示第二の事実につき

一  大蔵事務官作成の申告欠損金調査書

一  押収してある法人税確定申告書(平成元年三月期)一袋(同押号の2)

判示第二、第三の事実につき

一  大蔵事務官作成の現場経費調査書、損金不算入住民税利子割調査書、事業税認定損調査書

判示第三の事実につき

一  大蔵事務官作成の青色欠損金当期控除額調査書

一  押収してある法人税確定申告書(平成二年三月期)一袋(同押号の3)

(法令の適用)

被告会社の判示各行為は、法人税法一六四条一項、一五九条一項に該当するので、情状によりそれぞれ同法一五九条二項を適用し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四八条二項により各罪について定めた罰金を合算し、その範囲内で被告会社を罰金二〇〇〇万円に処し、被告人竹澤の判示各行為は、法人税法一五九条一項に該当するので、いずれについても所定刑中懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により犯情の重い判示第一の罪の刑に法定の加重をし、その刑期の範囲内で同被告人を懲役一〇月に処し、情状により刑法二五条一項を適用して、この裁判の確定した日から三年間その刑の執行を猶予する。

(量刑の理由)

本件はいわゆるパチンコ店舗の設計、施工等を目的とする会社における法人税脱税事案であるが、脱税額が三年分合計で八〇〇〇万円近くで、その額は必ずしも小さくなく、ほ脱率も各年度とも九〇パーセントを越えており、犯行の動機も、事業維持のための簿外資金の蓄積や売上げ増進のための謝礼金や交際費の捻出を目的としたもので、格別酌むところはなく、脱税の方法は、架空外注費や水増し外注費の計上など多様にわたって巧妙で悪質であり、これら事情に照らすと、犯情は必ずしもよくない。

しかし一方、本件起訴の対象となった本税のみならず重加算税等の附加税が全て納められていること、被告人竹澤も本件脱税については深い反省の態度を示し、二度と同じことを繰り返さない決意を述べていることなど、酌量すべき事情がある。

そこで、以上の各事情及びその他諸般の情状を考慮して、主文のとおり量刑する。

よって、主文のとおり判決する。

(求刑 被告会社・二五〇〇万円 被告人竹澤・懲役一年)

(裁判官 松浦繁)

別紙1

修正損益計算書

<省略>

別紙2

脱税額計算書

<省略>

別紙3

修正損益計算書

<省略>

別紙4

脱税額計算書

<省略>

別紙5

修正損益計算書

<省略>

別紙6

脱税額計算書

<省略>

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