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東京地方裁判所 平成4年(ワ)10354号 判決 1993年6月30日

原告

鈴木琢磨

右訴訟代理人弁護士

宿谷光雄

被告

佐藤英一

被告

大同生命保険相互会社

右代表者代表取締役

河原四郎

右訴訟代理人弁護士

齋藤和雄

主文

一  原告の請求をいずれも棄却する。

二  訴訟費用は原告の負担とする。

事実

第一  当事者の求めた裁判

一  請求の趣旨

1  被告らは、原告に対し、連帯して金四〇〇万九一六四円及びこれに対する平成三年一二月一日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

2  訴訟費用は被告らの負担とする。

3  仮執行宣言

二  請求の趣旨に対する答弁

主文と同旨

第二  当事者の主張

一  請求原因

1  被告大同生命保険相互会社(以下「被告大同生命」という。)は、生命保険業等を営む会社である。

2  被告佐藤英一(以下「被告佐藤」という。)は、被告大同生命の東京支社の使用人であり、東京支社において参事という肩書を使用している生命保険募集人であった。

3  原告は、被告大同生命との間で、昭和六三年九月一日、被告大同生命の募集する「ダイドウの変額保険<終身型>」(終身型一時払変額保険)につき、一口の基本保険金額一一一一万七五〇〇円とし、六口の同変額保険契約(保険料は合計金一五〇〇万円で、同年八月二五日支払済み)を締結した(以下「本件変額保険」という。)。

4  原告が本件変額保険に加入したのは、原告が、被告佐藤から、本件変額保険契約を締結すると、被告大同生命は、払い込む保険料の元本保証はもちろん、三六か月(三年)後解約の場合は年率七パーセント、六〇か月(五年)後解約の場合は年率9.14パーセントの利回りも保証し、解約時にその差額を支払うからという勧誘を受け、これを信じたからである。

5  原告は、平成三年一〇月一五日、本件変額保険を解約し、被告大同生命から原告に対し、同年一一月一三日、解約払戻金(配当金八一一二円を含む。)として六口合計金一四一四万〇八三六円が支払われた。

6  ところが、被告大同生命は、原告に対し、前記払込保険料合計金一五〇〇万円と右解約払戻金合計金の差額金八五万九一六四円及び本件変額保険契約から三六か月後解約の場合の利回り保証金三一五万円(前記払込保険料合計金一五〇〇万円を基礎として、年率七パーセント、三年間の計算による)の合計金四〇〇万九一六四円を支払わない。

7  被告佐藤の原告に対する前記4の勧誘行為は、欺罔によるものであり、かつ、保険募集の取締に関する法律(以下「募取法」という。)一五条二項、一六条一項四号や各種通達に違反した違法な文書及び特別利益の提供による勧誘行為であり、不法行為に当たる。

原告は、被告佐藤の右違法な勧誘行為により、右金四〇〇万九一六四円の損害を被ったから、被告佐藤には、民法七〇九条による損害賠償責任がある。

8  被告佐藤の前記4の勧誘行為は保険の募集につきなされたものであるから、被告大同生命には、募取法一一条一項による損害賠償責任がある。

9  よって、原告は、被告らに対し、連帯して損害金合計金四〇〇万九一六四円及びこれに対する不法行為の後である平成三年一二月一日から支払済みまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。

二  請求原因に対する被告佐藤の認否

1  請求原因1ないし3の事実は認める。

2  同4の事実は否認する。

3  同5、6の事実は知らない。

4  同7の主張は争う。

三  請求原因に対する被告大同生命の認否

1  請求原因1ないし3、5、6の事実は認める。

2  同4の事実のうち、被告佐藤の言葉を信じたとの部分は否認し、その余の事実は知らない。

3  同7、8の主張は争う。

四  抗弁

1  悪意又は重過失

原告は、被告佐藤において元本保証・利回り保証をすることが同人の権限外の行為であることを知っていたか、少なくとも重大な過失により知らなかった。

2  過失相殺

本件には、右1の事情があるから、損害額の算出に当たり斟酌されるべきである。

3  損害の補填

仮に、前記払込保険料合計金一五〇〇万円が本件不法行為による損害とすると、被告大同生命は、原告に対し、平成三年一一月一三日、解約払戻金(配当金八一一二円を含む。)として六口合計金一四一四万〇八三六円を支払っているから、右損害金に補填されるべきである。

五  抗弁に対する認否

否認する。

第三  証拠<省略>

理由

一1  原告と被告佐藤との間では、請求原因1ないし3の事実は争いがない。

2  原告と被告大同生命との間では、請求原因1ないし3、5、6の事実は争いがない。

二本件変額保険勧誘の経緯等

右一の争いがない事実に、<書証番号略>、原告本人尋問の結果、被告佐藤本人尋問の結果(ただし、後記採用しない部分を除く)、弁論の全趣旨を総合すると、次の事実が認められる。

1  原告は、本件変額保険契約当時三二歳であり、工業用繊維輸入を目的とする富士産業株式会社の課長をしていた。原告は、本件変額保険に加入する前に、生命保険に加入した経験がある。

原告は、被告佐藤が原告の父鈴木孝の経営する会社に出入りしていた関係で、昭和六三年二月ころ、被告佐藤を知るようになった。

2  被告佐藤は、被告大同生命の営業職員であり、生命保険の募集人としての登録をしており、変額保険の販売資格を持ち、その登録もしていた。

また、被告佐藤は、被告大同生命内における成績優秀者に与えられる参事の肩書を持ち、かつ、被告大同生命の営業基盤である「法人会」の「経営者大型総合保証制度 認定優秀モデル推進員」に認定されており、その旨が記載された名刺を原告に交付して、原告に対して本件変額保険の勧誘に当たっていた。

3  原告は、被告佐藤から、昭和六三年三月ころ、とても有利な投資があるとして勧誘を受けたが、被告佐藤の説明の内容は、概ね、「被告大同生命と、三井物産株式会社(以下「三井物産」という。)及び株式会社三井銀行(以下「三井銀行」という。)がタイアップして行う事業がある。出資者は自宅又はその他の不動産を担保に三井銀行から低利の融資(サクセスローン)を受け、その融資金の一部で三井物産が仲介する米国ロスアンゼルス市内のコンドミニアムを購入する。このコンドミニアムを現地の人にリースバックすると、三井物産が提携している現地不動産会社が家賃を支払うが、三井物産と右米国の会社が購入代金の八パーセントの家賃を三年間は毎年保証する。そして、融資残金は被告大同生命の募集する変額保険に加入する。変額保険の利率は変動するが、払い込む保険料の元本保証はもちろんのこと、三年据置後解約の場合年率七パーセント、五年据置後解約の場合年率9.14パーセントの利子を被告大同生命が最低保証する。したがって、コンドミニアムの家賃(保証)と三年目からは変額保険を解約して、変額保険の解約金(利回り保証)を充当することにより、手持資金がなくともサクセスローンの金利は十分に支払える。」というものであった。

4  さらに、原告は、被告佐藤から、昭和六三年四月ころ、「『サクセス』利用のセット投資」と題する書面(<書証番号略>)の交付及びその内容の説明を受けた。右書面には、被告佐藤の前記3のとおりの説明内容が記載されており、特に「変額保険(終身一時払い)高利回り用5年据え置き年9.14%保証、利子支払い用年7.00%保証」との記載があり、末尾には被告佐藤の氏名と大同生命保険相互会社東京支社の名称等が明記されていた。

原告は、被告佐藤の右説明により、三井物産、三井銀行及び被告大同生命の大手企業三社がタイアップしたセット投資商品があるものと信じ(なお、被告佐藤が説明した前記「『サクセス』利用のセット投資」は、真実は被告大同生命の投資商品ではなく、被告佐藤がセールスをする上で他社のものと被告大同生命のものを独自に併せて勧めたものであった。)、そのうち特に家賃保証と変額保険の利回り保証に関心を持つに至った。

そして、同年四月ころ、被告佐藤の連絡により、三井物産から原告に対し、コンドミニアムに関する資料が郵送され、原告は、被告佐藤と同行して、三井物産にコンドミニアムに関する説明を受けに行った。三井物産発行の右コンドミニアムの販売案内書(<書証番号略>)には、「三年間にわたり年率八%の利回りを保証する(ただし四年目以降も継続可能だが利回り保証はなく実質利回りとなる)」旨記載されていた。さらに、同年五月ころ、サクセスローンの担保としては借地権でも可能という三井銀行の説明があったため、原告は、右セット投資に申し込む気になった。

5  そこで、原告は、被告佐藤の右勧誘を信じて、同年六月初旬ころ、三井物産に対し、前記コンドミニアム購入の申込みをし、同月一三日、申込金を送金するとともに、同日、三井カードローン(サクセス)借入申込書を三井銀行に提出し、同月二三日、三井銀行との間で、自己の所有する借地権を担保にして同ローン契約を締結した。原告は、同年七月二五日には、三井銀行より金三〇〇〇万円を借り入れ、同日、ほぼ同額の前記コンドミニアム購入代金を送金した(契約締結日は同月三〇日)。

さらに、原告は、同年八月二四日、三井銀行より金一五〇〇万円を借り入れた。原告は、同月二五日の時点では、被告佐藤から、いまだ後記保証書の交付を受けていなかったが、被告佐藤が保証書は近々持っていくが締めに間に合わせたいのでなるべく早く送金してほしいと言うため、同月二五日、被告大同生命の本件変額保険加入金として金一五〇〇万円を払い込み、昭和六三年九月一日、被告大同生命との間で、同社の募集する「ダイドウの変額保険<終身型>」(終身型一時払変額保険)につき、一口の基本保険金額一一一一万七五〇〇円とし、六口の同変額保険契約(本件変額保険)を締結した。

なお、原告としては、被告佐藤の説明どおり、三井銀行からのサクセスローンの元利金の支払は前記家賃保証と本件変額保険の解約払戻金で行うつもりであった。

6  原告は、被告佐藤から前記のとおり利回り保証等の話があったので、同年七月ころ、被告佐藤に対し、大事なことであるからその旨の保証書がほしいと保証書の作成を要求した。

被告佐藤は、これに応じて、被告大同生命の社名等が記載された被告大同生命において通常使用している用紙に、被告佐藤が、「保証書」との表題で、「鈴木琢磨殿 大同生命変額保険終身型一時払いにご加入下さいまして、誠に有難度うご座居ました。当保険は変動型でありまして、一定額の配当を確約するものではありませんが、米国ロスアンゼルス市マリーナーのコンド・ミニアム購入の借入金利の一部をカバーするため36ケ月后解約は年率7%・60ケ月后は9.14%を保証致します。解約時にその差額金を支払います。 昭和63年9月6日 大同生命保険相互会社東京支社 参事 佐藤英一」と記載した書面(<書証番号略>、以下「本件保証書」という。)を作成して、同年九月六日、原告に交付した。

本件保証書交付の席には、被告佐藤の上司で監督者である機関長(課長)生方昭直(以下「生方」という。)も同席しており、同日、被告佐藤から、保険証書、定款・約款のほか、保険契約の加入者を紹介した場合、手数料を渡す旨の保険契約の加入見込先の紹介に関する協定書(これには、生方の記名押印及び被告佐藤の署名押印がある。)が交付された。

なお、原告は、本件保証書の内容について、被告大同生命や生方等に対して何らの問合わせはしていない。

7  本件変額保険契約締結のころ、本件変額保険につき、我が国では運用実績はまだなかったが、米国では年一四パーセントの実績があった。しかも、被告大同生命の関連会社である大同生命投資顧問会社神田常務が他の顧客に対して、最低七パーセント以上は配当できる、配当できると言って大丈夫と明言しており、被告佐藤は、神田常務の右発言を聞き、本件保証書記載のような保証ができるものと信じて、原告に前記説明をした。

8  原告は、平成三年一〇月一五日、本件変額保険全部を解約し、同年一一月一三日、被告大同生命から、解約払戻金及び配当金として六口合計金一四一四万〇八三六円の支払を受けた。

以上の事実が認められ、<証拠判断省略>、ほかに右認定を左右するに足りる証拠はない。

三本件変額保険について

1  <書証番号略>、弁論の全趣旨によれば、本件変額保険は、保険金額が資産の運用実績に基づいて増減する生命保険であり、保険期間中保険金額が一定の生命保険である定額保険とは異なっていること、しかも、解約払戻金の額は、契約年齢、保険料払込期間、経過年数などにより異なり、もともと、将来の支払額を保証するものではないこと、したがって、本件変額保険は何ら元本保証・利回り保証、最低保証をするものではなく、保険契約者は、経済情勢や運用いかんにより高い収益を期待できるが、一方で株価の低下や為替の変動による資産運用リスクを負担することになる危険性があること、被告大同生命は、本件変額保険についての「ご契約のしおり―定款・約款」(<書証番号略>)やパンフレット「ダイドウの変額保険 終身型」(<書証番号略>)にその旨を記載して、保険契約者に注意を喚起していたことが認められる。

2  募取法は、生命保険募集人等の行う募集行為を取り締まり、保険契約者の利益を保護すること等を目的とするものであるが、①配当の予想に関する記載の禁止等募集文書に関する規制(一四、一五条)、②虚偽の説明の禁止、契約条項の不完全説明の禁止、特別利益提供の禁止等募集行為そのものに関する規制(一六条)により、具体的な募集行為につき規制している。さらに、<書証番号略>によれば、「変額保険募集上の留意事項について」と題する通達(昭和六一年七月一〇日付蔵銀第一九三三号各生命保険会社社長宛)により、変額保険の募集に際しては、①将来の運用実績についての断定的判断を提供する行為、②保険金額あるいは解約返戻金額を保証する行為等についても、募取法の趣旨を踏まえて、変額保険募集上の禁止行為(事項)として遵守・徹底することとされていることが認められる。

3  原告本人尋問の結果によれば、原告は、被告佐藤から、変額保険は解約した時に払戻金は変わること、それも途中で解約すると払戻金は多くの場合、払込保険料の合計額より少ない金額となること、本件変額保険は、定期預金などの貯蓄から比べると非常に有利だが、利率は変動するという説明を受けていたことが認められる。

4  原告、被告佐藤各本人尋問の結果によれば、本件変額保険申込書(<書証番号略>)には、前記「ご契約のしおり―定款・約款」を保険契約者である原告が受領した旨の受領印があるが、実際には、被告佐藤は原告に右「ご契約のしおり―定款・約款」を保険契約申込書の記入時までに交付しておらず、被告佐藤が原告から受領印だけを先に押してもらっていたものであり、原告が右書面を受領したのは、前記保険料の支払の後で、かつ、本件変額保険契約締結後の同年九月六日のことであったこと、しかも、被告佐藤は、本件変額保険の仕組みを説明したパンフレット(<書証番号略>)を、勧誘の際に原告に交付していなかったことが認められ、<証拠判断省略>。

四被告らの責任について

1  被告佐藤の責任について

原告は、被告佐藤に欺罔行為があったと主張するが、前記認定事実によれば、本件契約当時は、高金利が予想される状況にあり、更に、被告佐藤は、神田常務の前記発言もあって本件変額保険を解約すると払戻金が相当あり、本件保証書記載のとおりの保証ができるものと信じて本件勧誘に当たってきたものであるから、被告佐藤には欺罔の意思がなかったものであり、欺罔行為があったということはできない。

しかしながら、前記認定事実によれば被告佐藤は、本件勧誘に当たり、本件変額保険についての仕組みを記載したパンフレットや契約のしおり等を交付せず、単に利率が変動するとか解約したときに払戻金が変わるなどの説明をしただけで本件変額保険の特殊性や危険性について十分な説明をせず、かえって、その高収益性を強調して、将来の高利回りを保証したり解約時の解約払返戻金との差額金の支払を約束し、その旨の文書を交付するなどして、原告を信用させて本件契約締結に至らせたものであり、生命保険募集人としていきすぎた勧誘行為を行ったものであって、被告佐藤の前記勧誘行為は不法行為に当たるものというべきである。

よって、被告佐藤は、民法七〇九条により、原告に生じた損害を賠償する責任がある。

2  被告大同生命の責任について

被告佐藤は、生命保険募集人であり、同人の前記勧誘行為は、本件変額保険の募集につきなされたものであるから、被告大同生命は、募取法一一条一項により、原告に生じた損害を賠償する責任がある。

五抗弁について

1  抗弁1(悪意又は重過失)について

原告は、被告佐藤において元本保証・利回り保証をすることが同人の権限外の行為であることを知っていたか、少なくとも重大な過失により知らなかったと主張する。

しかしながら、前記認定事実によれば、原告の方から被告に積極的に本件保証書を要求したものであるが、それをもって被告佐藤において本件保証書記載のような約束をすることが同人の権限外の行為であることを知っていたというには足りず、ほかに原告が被告佐藤の権限外の勧誘行為であると知っていたことを認めるに足りる証拠はない。

さらに、前記認定事実によれば、原告は、被告佐藤の言い分をうのみにしており、それが本当かどうか、被告大同生命の保証したものであるかどうか、被告佐藤の権限内の勧誘行為であるか等につき、被告会社に電話するなどして容易に確認できたにもかかわらず、これを行っていないことが認められるが、それは、あくまで被告佐藤の勧誘を信じたからであり、被告佐藤が原告にした説明や交付した文書の体裁や記載内容からすると、それ自体にはやむを得ない面があることなどからすると、いまだ原告に重過失があったということはできず、ほかに原告に重過失があったことを認めるに足りる証拠はない。

よって、抗弁1は理由がない。

2  抗弁2(過失相殺)について

右1の事実に加え、前記認定事実によれば、原告は、変額保険が生命保険の一種であり、かつ、運用実績によってはかなりの危険性があることが理解可能であったにもかかわらず、変額保険の投資的側面にのみ目を奪われ、被告佐藤の説明や保証書等の記載を安易に信用して本件契約に至ったものであるから、損害額の算出に当たっては、原告の右事情を過失として斟酌すべきであり、本件に現れた諸事情をも考慮すると、原告の過失割合は二割というべきである。

六損害について

1  前記認定事実及び弁論の全趣旨によれば、原告は、被告佐藤の前記違法な勧誘行為がなければ、本件変額保険には加入しなかったことが認められるから、原告は、前記払込保険料合計金一五〇〇万円と同額の損害を被ったものと認められる。

原告は、本件変額保険契約締結後解約時点までの三六か月分の利回り保証金三一五万円(前記金一五〇〇万円の保険料を基礎として、年率七パーセント、三年間の計算による)についても、不法行為による損害であると主張するが、もともと右利回りは被告大同生命として正規に保証できる性格のものではなく、原告が右金員を確実に得られたものではないから、原告が右利回り保証金相当額の損害を被ったとはいえない。

2  前記認定のとおり、原告には二割の過失があるから、これを控除すると、被告らが原告に賠償すべき損害は金一二〇〇万円となり、更に、前記認定のとおり、被告大同生命は、原告に対し、平成三年一一月一三日、解約払戻金及び配当金として合計金一四一四万〇八三六円を支払っているから、これを右損害金に補填すると、被告らが原告に賠償すべき損害はないことになる。

七結論

以上によれば、原告の本訴請求は、理由がないから棄却することとし、主文のとおり判決する。

(裁判官中本敏嗣)

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