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東京地方裁判所 平成2年(ワ)5927号 判決 1990年11月30日

原告

井岸秀代

被告

福山保

ほか一名

主文

一  被告らは、連帯して、原告らに対し、四六万四九四一円及びこれに対する平成二年五月二五日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

二  被告福山保は、原告に対し、一三三万円及びこれに対する平成二年五月二五日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

三  原告のその余の請求をいずれも棄却する。

四  訴訟費用はこれを六分し、その一を被告らの、その余を原告の各負担とする。

五  この判決の一項及び二項は、仮に執行することができる。

事実及び理由

第一請求

一  被告らは、連帯して、原告に対し、一六一万五〇六一円及びこれに対する平成二年五月二五日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

二  被告福山保は、原告に対し、一三三万円及びこれに対する平成二年五月二五日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

第二事案の概要

一  本件事故の発生等(当事者間に争いがない)

1  平成元年一一月一九日午前二時二八分ころ、被告福山保運転の普通乗用自動車(加害車)が東京都墨田区両国一―一―九の原告方家屋に衝突した(本件事故)。

2  本件事故は被告福山の過失によつて発生したものであり、被告株式会社フクヤマは加害車を自己のため運行の用に供していた。

二  原告の主張

1  原告の受傷

原告(当時七八才)は、本件事故当時就寝中であつたが、本件事故によりガスが漏れて、逃げようとしたが玄関の戸があかず、ためにベランダから脱出しようとして鉄柵をよじ登つた際、左第四、第五肋骨骨折の傷害を負つた。

2  損害

(一) 家屋修繕工事費 一三三万円

(二) 治療費、通院費等 四万八〇五七円

(三) 家政婦代 一六万七〇〇四円

原告は、本件事故による前記傷害のため家事を行うことができなくなり、平成元年一二月一日から同月二六日までの間に一八日間家政婦を頼んだ。

(四) 慰謝料 一〇〇万円

(五) 弁護士費用 四〇万円

三  被告らの主張

1  本件事故と原告の主張する傷害との間に因果関係はない。

2  原告主張の損害のうち、家屋修繕工事費一三三万円は認めるが、その余は争う。

第三当裁判所の判断

一  原告の受傷等

1  証拠(甲二、七、二二の一ないし六、原告本人)によれば、次の事実が認められる。

原告(当時七八才)は、本件事故当時一人住まいであり、原告方家屋の二階で寝ていたところ、加害車が家屋に衝突した音で目が覚め、しばらく布団の中でじつとしていたところ、近所の飯田から電話があり、「お宅の玄関に自動車が衝突し、ガス管が切れてガスが漏れている。通報してあるからそのまま待つていて下さい。」と言われた。そこで、原告は、そのままの状態で待つていたところ、やがて消防車が来たので、一階に降りて行つた。一階はガスの臭いが強くしており、台所のガス警報機が鳴つていた。原告は、玄関から外に出ようとしたが、衝突のため戸が開かなかつたので、裏のベランダからその柵を乗り越えて隣の駐車場に出ることにした。そして、柵を乗り越えようとした際、原告は、無理な態勢をとつたため左第四、第五肋骨骨折の傷害を負い、結局、右の柵を乗り越えることができず、消防士の手助けを得て隣家側の方の柵を乗り越えて隣家に避難した。

2  右事実によれば、原告の左第四、第五肋骨骨折の受傷と本件事故との間には相当因果関係があるというべきである。

二  損害

1  家屋修繕工事費 一三三万円

当事者間に争いがない。

2  治療費、通院費、薬代 一万七九三七円

証拠(甲七、八、一八の一ないし三、一九の一、二、二〇の一ないし六、原告本人)によれば、原告は、平成元年一一月二七日から翌平成二年二月五日まで順天堂大学医学部附属順天堂医院で通院治療を受け、その治療費として七五五〇円を、その交通費(タクシー代)として七七五〇円を、薬代として二六三七円を支払つたことが認められる。

3  家政婦代 一六万七〇〇四円

原告は、本件事故による前記傷害により家事を行うことができなくなり、平成元年一二月一日から同月二六日までの間に一八日間家政婦を頼み、その代金として一六万七〇〇四円を支払つたことが認められる(甲一三ないし一七の各一、二)。

4  慰謝料 二〇万円

本件事故の態様、原告の傷害の内容、程度、通院日数、更に、被告福山が本件事故後直ちに被害者の有無等を確かめることなくその場から逃げていること、原告はガス警報機の鳴る中での避難を余儀なくされていること等を考慮すると、原告の精神的苦痛を慰謝するには、二〇万円をもつて相当と思料される。

5  合計

(一) 被告福山 単独で一三三万円

株式会社フクヤマと連帯して三八万四九四一円

(二) 被告株式会社フクヤマ 三八万四九四一円

6  弁護士費用 八万円

本訴前に家屋修繕工事費一三三万円については争いがなかつたと推認されること、本訴において認容されたその余の損害額は三八万四九四一円であること等の諸事情を考慮し、原告が被告らに請求し得る弁護士費用は八万円と認める。

よつて、主文のとおり判決する。

(裁判官 原田敏章)

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