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札幌高等裁判所 昭和48年(ネ)310号 判決 1974年10月30日

控訴人 梅木勇松

被控訴人 国

代理人 宮村素之 外七名

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

控訴人は「原判決を取消す。別紙記載の土地につき控訴人が所有権を有することを確認する。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴人代理人は主文同旨の判決を求めた。

当事者双方の事実上の主張および証拠関係は、次のとおり付加するほか原判決事実摘示のとおりであるので、これを引用する。

一  被控訴代理人において、「本件土地のうち崖側部分は海岸保全区域として指定されており、これより海岸線に至る部分は建設省所管の一般海岸地区としての公共用国有財産である。」と述べた。

二  控訴人において、「本件土地のうち崖側部分が被控訴人主張のとおり海岸保全区域であることは認めるが、これより海岸線に至る部分が一般海岸地区としての公共用国有財産であるとの点は否認する。控訴人は、本件土地の全体について時効取得による所有権を主張するものであり、一部について主張する趣旨ではない。」と述べた。

三  証拠関係(省略)

理由

当裁判所も本件土地は公共の用に供せられている国有の公共用財産にして、講学上いわゆる自然公物たる海浜の一部であるから、これが公用廃止行為のない限り民法上の取得時効の目的とならないと判断するものであつて、その理由は次のとおり付加訂正するほか原判決理由にしるすところと同一であるので、これを引用する。

一  原判決六枚目裏四行目ないし六行目に挙示の証拠のうえに「当審における控訴本人尋問の結果」を加える。

二  原判決六枚目裏九、一〇行目にある「(本件土地が国有であることは当事者間に争いがない)」を消除する。

三  原判決七枚目表二行目に「住民に貸付け、使用させて」とあるのを「住民に使用させて」に改める。

四  原判決七枚目表五行目に「本件土地内におけを住民に対する広尾町長のなした貸付け状況は」とあるのを「本件土地内において広尾町長が住民に許可した使用状況は」に改める。

五  原判決七枚目表六行目に「貸付けを受けた者」とあるのを「使用を許可された者」に改め、同一〇行目にある「右海岸保全区域内に属する」の次に「(本件土地のうち崖側部分が被控訴人主張のとおりの海岸保全区域であることは当事者間に争いがない。)」を挿入する。

六  原判決七枚目裏一〇行目ないし同八枚目表一行目にある活孤書き部分すなわち「(尤も、……」以下「……認めるに足る証拠がない)」までを削除する。

七  なお、本件土地を含むその付近一帯が海浜の形体を有すること明らかであり、右形体が保持されている以上、これが自然の状態のままですでに直接一般公衆の共同使用に供せられる実体を具備している講学上のいわゆる自然公物に該り、国有公物として、国有財産法上にいう行政財産(公共用財産)に属することは前記引用にかかる原審認定判断のとおりである。

ところが、控訴人は本件土地のうち海岸保全区域になる部分が国有財産であることは認めながら、これより海岸線に至る部分は一般海岸地区としての公共用国有財産でないと争い、恰も海岸保全区域の指定のない限り、たとえ海浜の形体を保持していても国有公物にならないかのような主張をする。

しかしながら、自然公物たる海浜の範囲は自然の形体自体により定まること上記のとおりであつて、特に行政庁による何らの特別な行為も要しないと解すべきであり、控訴人のいう海岸保全区域はその海浜のうち海岸法三条に基づき海岸管理者すなわち本件における北海道知事をして公物保全の見地から海岸の管理執行に当らしめるために指定した一定の区域に過ぎず、上記のような自然公物たる海の範囲が右指定によつて特定されるものではない。したがつて、控訴人の右主張は結局理由がない。

よつて、原判決は相当であり、本件控訴は理由がないから、民訴法三八四条一項に従つてこれを棄却することとし、控訴費用の負担につき同法九五条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 松村利智 長西英三 山崎末記)

別紙目録(省略)

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