大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

札幌高等裁判所 昭和29年(ラ)38号 決定 1955年1月24日

抗告人 北山新太郎

訴訟代理人 中田克巳知

相手方 小田喜代司

主文

本件抗告を却下する。

抗告費用は抗告人の負担とする。

理由

抗告代理人は原決定を取消す、相手方の本件異議申立を却下するとの裁判を求め、その理由は別紙抗告理由記載の通りである。

しかしながら記録によれば、抗告人は抗告人を債権者とし相手方を債務者とする札幌地方裁判所昭和二九年(ヨ)第二六八号不動産工事差止等仮処分申請事件について、同裁判所より同年八月十日なされた別紙目録記載の不動産に対する処分禁止ならびに工事差止の仮処分決定に基いて札幌地方裁判所執行吏森隆三に委任してその執行をなしたところ、相手方において此の執行に関し民事訴訟法第五百四十四条第一項前段の規定による異議の申立(同庁昭和二九年(モ)第八二九号)をなし原決定は、この異議申立事件において、同条同項後段の規定により同法第五百二十二条第二項に定められた命令として発せられたものである。

而して同法第五百四十四条第一項後段の規定に基いて発せられた同法第五百二十二条第二項の命令に対しては、同法第五百条第三項の規定の趣旨を類推して不服申立を許さないものと解するのを相当とするから、本件抗告は不適法と言わなければならない。

よつて民事訴訟法第四百十四条、第三百八十三条、第九十五条、第八十九条を適用して主文の通り決定する。

(裁判長裁判官 原和雄 裁判官 臼居直道 裁判官 松永信和)

抗告理由

一、相手方小田喜代司の前記執行方法に対する異議申立の理由とする所は別紙第一目録記載の建物に対する抗告人申請の仮処分決定(同年(ヨ)第二六八号)は相手方申請の仮処分決定(同年(ヨ)第二五〇号)とその内容に於て全く抵触するから違法であると云うのである。

二、されど抗告人のなした前記札幌地方裁判所昭和二十九年(ヨ)第二六八号仮処分申請人は相手方が為した同庁同年(ヨ)第二五〇号の仮処分と其の内容は抵触しないから違法でない。即ち

(イ)前記同年(ヨ)第二五〇号の仮処分決定は相手方から抗告人に対する占有妨害排除即ち実力行使阻止の仮処分決定であつて抗告人が為した前記同年(ヨ)第二六八号の仮処分決定は適法に相手方の占有を解いて執行吏の占有となし工事の差止をしたので実力行使による占有妨害等でない。

(ロ)前記同上(ヨ)第二五〇号の仮処分は単に別紙目録記載建物床下に溜つている下水工事並びに該建物の破損修理工事のみであつて同上(ヨ)第二六八号の仮処分は該建物全部に対する改築工事差止のための仮処分であるから両者自らその内容及び目的を異にする。

(ハ)抗告人が執行した前記同年(ヨ)第二六八号の仮処分は相手方及株式会社小田電気商事両名に対する仮処分の執行である。従つて相手方のみにその取消を命じた原審決定は何等の効果を生じない。即ち本件建物の占有は右仮処分の執行前((ヨ)第二六八号仮処分執行)の現実占有者(工事施行者)は相手方でなく前記株式会社小田電気商事であつたのである。

三、相手方のなした前記同上(ヨ)第二五〇号の仮処分は名を下水工事等に藉りて本件建物全体に対する改造工事をしようとする不当な仮処分であるから該仮処分のために抗告人が為した前記(ヨ)第二六八号の正当仮処分の執行が取消されたら正当な仮処分が排斥されて不当仮処分が保護さるる結果となる。

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例