大判例

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札幌高等裁判所 平成6年(ネ)157号 判決 1995年1月31日

控訴人

株式会社オリエントコーポレーション

右代表者代表取締役

新井裕

右訴訟代理人弁護士

稲澤優

高橋秀夫

当審控訴人補助参加人

株式会社札幌銀行

右代表者代表取締役

川西徹

右訴訟代理人弁護士

矢吹幸太郎

矢吹徹雄

被控訴人

梅田優

梅田清

右両名訴訟代理人弁護士

今重一

今瞭美

伊藤誠一

藤本明

主文

一  原判決を次のとおり変更する。

二  被控訴人らは、控訴人に対し、連帯して、一六七万六一〇四円及びこれに対する平成四年九月二八日から支払ずみまで年29.2パーセントの割合による金員を支払え。

三  訴訟費用(参加によって生じた費用を含む。)は、第一、二審とも被控訴人らの負担とする。

四  この判決は、仮に執行することができる。

事実

一  控訴代理人は、「原判決を次のとおり変更する。被控訴人らは、控訴人に対し、連帯して、一六七万六一〇四円及びこれに対する平成四年九月二八日から支払ずみまで年29.2パーセントの割合による金員を支払え。訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人らの負担とする。」との判決及び金員支払請求部分につき仮執行の宣言を求め、被控訴代理人は、「本件控訴を棄却する。控訴費用は控訴人の負担とする。」との判決を求めた。

二  当事者双方の主張は、次のとおり付加、訂正するほかは、原判決事実摘示のとおりであるから、これを引用する。

1  「訴外株式会社札幌銀行」ないし「訴外銀行」とあるのをいずれも「補助参加人」と読み替える。

2  原判決三枚目裏九行目の「被告らに対し、」の次に「連帯して、」を加え、同四枚目表九行目の「売買代金の支払のために訴外銀行との間で」を「訴外リベルテのあっせんで、補助参加人との間に本件自動車購入資金の借入れを目的とする」と改め、一一行目の「である。」の次に「このような資金融資の構造は割賦販売法のいう割賦購入あっせんと異なるところはなく、補助参加人は割賦購入あっせん業者に該当するものといえる。そして、控訴人が代位弁済をして求償権を行使する場合は、補助参加人自身が権利を行使する場合に準じて考察すべきである。」を、同行の「被告らは、」の次に「割賦販売法三〇条の四を類推適用して、補助参加人に対抗することができたのと同様に、」をそれぞれ加える。

3  同四枚目表末行を次のとおり改める。

「四 抗弁に対する反論

1  控訴人」

4  同四枚目裏一行目の「訴外銀行」の前に「補助参加人は本件自動車販売契約の成立に関与しているものではなく、補助参加人と訴外リベルテとの間に何らかの包括的取引契約が締結されているのでもなく、控訴人と訴外リベルテとの間にも何らの加盟店契約関係もない等の事実関係からすれば、」を加え、四行目の次に行を改め次のとおり加える。

「2 補助参加人

割賦販売法二条三項二号は、販売業者と割賦購入あっせん業者間に加盟店契約又はこれと類似の契約が存在し、その加盟店販売業者から購入者が購入する場合について規定するものである。ところで、本件消費貸借のようなマイカーローンは、銀行と顧客間の純粋な金銭消費貸借であって、販売業者と銀行との間には加盟店契約、その他これと類似する契約は一切なく、銀行が販売業者を選択できない点において割賦購入あっせんと大きく異なっており、マイカーローンに割賦販売に関する規定を適用、準用又は類推適用することは許されない。」

三  証拠関係は、原審及び当審記録中の証拠目録記載のとおりであるから、これを引用する。

理由

一  最初に、請求原因について検討する。

1  当裁判所の認定した事実は、次のとおり付加、訂正するほかは、原判決四枚目裏六行目冒頭から同六枚目裏六行目末尾までに説示のとおりである。

(一)  「訴外銀行」とあるのをいずれも「補助参加人」と読み替える。

(二)  原判決四枚目裏六行目の「一〇ないし一六、乙一」を「八の1、2、一〇ないし一三、一五、一六、乙一、丙二」と改め、同行の「中道俊成」の次に「(原審及び当審)」を加え、一〇行目の「とし」を「を勧められてこれを承諾し」と、同行の「マイカーローンの申込書等」を「補助参加人が予め顧客用に印刷した五枚一綴りの複写式用紙で、内三枚は控訴人用の保証委託申込書兼同契約書、補助参加人用のマイカーローン申込書及びその顧客用控えからなり、内二枚は銀行用のマイカーローン契約書及びその顧客用控えからなっているもの」とそれぞれ改め、一一行目の「自ら」及び一二行目の「被告清は」の各次に「各」をそれぞれ加え、末行冒頭から同五枚目表五行目末尾までを「右マイカーローン契約書には、『借主が返済を遅延し、銀行から書面により督促しても、次の返済日までに元利金(損害金)を返済しなかったときは、借主はこの契約による債務全額について期限の利益を失い、直ちにこの契約による債務全額を返済する』旨の条項が、また、右保証委託契約書には、請求原因2(一)、(三)、(四)及び『保証会社が代位弁済する場合には、借主、連帯保証人に対する事前の通知を要せず、履行の方法、金額等については保証会社と銀行間の保証契約に基づいて実行して貰いたい』旨の各条項が、それぞれ不動文字で記載されていた。」と改める。

(三)  同五枚目表七行目の「及び」の次に「本件自動車の」を、同行の「持ち込んで、」の次に「代金一七五万円の支払に充てるための」をそれぞれ加え、一〇行目の「ころ」を削り、一二行目の「意思」の次に「のあること」を加え、同裏三行目の「させ」から四行目末尾までを「させたが、補助参加人としては、被控訴人優からの右融資申込みに対し、一七五万円を請求原因1(一)、(二)及び(四)の条件のもとに貸し付ける意向を固めていたことから、中道は、その際、被控訴人優に右条件での借入れをする意思のあることを確認した。」と改め、六行目の「一一月二九日、」の次に「被控訴人優に対する右条件による貸付を決定し、同日」を、七行目の「甲一六」の次に「はその写し」を、一〇行目の「訴外銀行は、」の次に「同日ころ、」をそれぞれ加え、同行から一一行目にかけての「金銭消費貸借契約」を「マイカーローン」と、同行の「保証委託契約」を「保証委託」とそれぞれ改め、一二行目の前の「控え」の次に「(甲一〇は同じものの銀行用のもの)」を加え、同行の「金銭消費貸借」を「マイカーローン」と改め、同行の後の「控え」の次に「(甲一二は同じものの銀行用のもの)」を加え、末行の前の括弧書部分を削り、同行の「控え」の次に「(甲一六は同じものの銀行用のもの)」を加える。

(四)  同六枚目表二行目の「金銭消費貸借契約」を「マイカーローン」と、三行目の「保証委託契約」を「保証委託」と、四行目の「金銭消費貸借」を「マイカーローン」とそれぞれ改め、六行目冒頭から一〇行目末尾までを削り、一一行目の「8」を「7」と改め、一二行目の「等」を削り、同裏一行目の「していない。」を「しなかった。そこで、補助参加人は、被控訴人優に対し、平成四年九月一五日到達の書面により、同年六月以降の遅延分を直ちに支払うよう督促するとともに、万一同年九月二四日までに遅延分全額の返済がない場合は、期限の利益を失う旨警告した。」と、二行目の「9 そこで」を「8 そして」とそれぞれ改める。

2  右認定の事実に弁論の全趣旨を総合すると、請求原因1(三)の約定、同2(二)の約定の各存在を除き、請求原因1ないし3のとおりの各契約が成立したものと認められ、本件消費貸借における期限の利益の喪失については、前記一1(原判決引用)記載の条項どおりの約定が成立したと認めるのが相当である。なお、被控訴人らは、本件消費貸借による借入金一七五万円を受領した事実を否認するが、補助参加人が被控訴人優を依頼人として訴外リベルテの預金口座に一七五万円を振り込んだことは前示(原判決引用)のとおりであり、被控訴人優は原審においてやや曖昧ではあるものの、右借入金が直接訴外リベルテに支払われることは認識していた趣旨の供述をし、前示のとおり、被控訴人優は訴外銀行からマイカーローン契約書や振込依頼書等の送付を受けたが、その当時それについて訴外銀行に対し何らの異議申出もしていないこと(原審証人中道俊成及び原審における被控訴人優)を総合すると、被控訴人優は右借入金をいったん受領して訴外リベルテに支払うのに代えて、補助参加人がこれを訴外リベルテに直接支払うことを合意していたものと認めるべきである。

そして、証拠(甲八の1、2)によれば、補助参加人は、被控訴人優に対し、平成四年九月一五日到達の書面をもって、右借入金の遅延分を直ちに支払うよう督促するとともに、同月二四日までに遅延分全額の支払がないときは、期限の利益を失わせる旨の意思表示をした。そうすると、被控訴人らは、前記期限の利益喪失条項の趣旨により、平成四年九月二七日の経過により期限の利益を失ったことになる。請求原因5の事実が認められることは、前記認定のとおりである。

以上によれば、被控訴人らは、後記抗弁が認められない限り、控訴人に対し、連帯して、代位弁済金一六七万六一〇四円及びこれに対する代位弁済の日である平成四年九月二八日から支払ずみまで年29.2パーセントの割合による遅延損害金を支払うべき義務がある。

二  そこで、抗弁について検討する。

証拠(甲一〇、一一、丙一、三、四、原審及び当審証人中道俊成)によれば、本件消費貸借は補助参加人の設けたマイカーローンの融資制度を利用したものであるが、マイカーローンは、補助参加人が各種のローン制度の一つとして、借入金の使途を自動車の購入資金等に限定し、保証会社の保証を得ることを条件に、広く一般の顧客を対象に宣伝して顧客に融資を行うものであって、本件消費貸借当時、補助参加人は、控訴人との間に、控訴人に定率の保証料を支払ってマイカーローンの利用者の保証を依頼する基本契約を締結しており、これに基づいて、補助参加人は顧客からマイカーローン利用の申込みがあると控訴人に保証依頼をし、顧客の信用調査は専ら控訴人において行い、控訴人が信用調査の結果に問題がないとして保証に応じた者に対して納車の有無と無関係に融資を実行し、ただ、貸付金は他の用途に使用されるのを防ぐため、顧客の承諾のもとに直接販売業者に支払うこととしていたことが認められる。

右事実及び前記一1の事実によれば、本件取引の形態は、商品購入のため使途の特定された融資金が銀行(補助参加人)から販売業者に直接支払われ、保証会社(信販会社である控訴人)が購入者の信用状態を調査して実質上融資の可否を決定し、購入者が債務の履行を怠った場合の最終的な債権回収の責任を負担し、その反対給付として手数料を得ているものであって、その商品の種類、返済の方法等も併せ考慮すると、銀行と保証会社とを経済的ないしは取引の形態上一体のものとしてみた場合、割賦販売法二条三項の割賦購入あっせんに類似する面のあることは否定できない。

しかしながら、割賦購入あっせんは、同項の定義規定からも明らかなように、信販会社と販売業者との間に加盟店契約ないしそれと類似の経済的に密接な関係のあることが前提となっており、右前提があるからこそ、同法三〇条の四において、購入者が販売業者に対する抗弁をもって信販会社に対抗することを認めているものと解されるところ、本件においては、補助参加人の貸付は控訴人を通じてなされるわけではなく、被控訴人優も補助参加人へ直接返済をするものであって、控訴人と補助参加人とを一体としてみることはできないうえ、訴外リベルテが、本件当時、被控訴人優の外にも数人の顧客に勧め、補助参加人のマイカーローンを利用させた事情のあることは窺われるものの(原審証人中道俊成)、それを超えて、補助参加人若しくは控訴人と訴外リベルテとの間に、右にいうような経済的に密接な関係が存在したことを肯認するに足りる証拠はないから、本件に割賦販売法三〇条の四第一項を適用ないし準用する余地はなく、また、これを類推適用することもできないものというべきであって、抗弁は理由がない。

三  よって、右とその趣旨を異にする原判決を右のとおり変更することとし、控訴費用の負担について民事訴訟法九六条、八九条、九三条、九四条を、仮執行宣言について同法一九六条をそれぞれ適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官宮本増 裁判官河合治夫 裁判官小野博道)

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