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札幌地方裁判所 昭和53年(行ウ)9号 判決 1981年5月08日

原告

北日本倉庫港運株式会社

右代表者代表取締役

舘林滋

右訴訟代理人弁護士

富岡公治

被告

北海道地方労働委員会

右代表者会長

二宮喜治

右指定代理人

梅原成昭

(ほか四名)

主文

一  原告の請求を棄却する。

二  訴訟費用は、原告の負担とする。

事実

第一当事者の求める裁判

一  原告

1  被告が北海道地方労働委員会昭和五二年道委不第一六号事件について、昭和五三年五月三〇日付でした不当労働行為救済命令はこれを取消す。

2  訴訟費用は被告の負担とする。

二  被告

主文同旨

第二当事者の主張

一  請求原因

1  被告は原告を被申立人とし、訴外全日本港湾労働組合北海道地方本部(以下「地本」という。)を申立人とする昭和五二年道委不第一六号北日本倉庫港運株式会社不当労働行為申立事件について、昭和五三年五月三〇日付で別紙主文の命令(以下「本件命令」という。)を発し、右命令は同年六月二日原告に交付された。

2  しかしながら、本件命令は違法な行政処分であるから、その取消を求める。

二  請求原因に対する認否

1  請求原因1の事実は認める。

2  同2の主張は争う。

三  被告の主張

(本件救済命令の理由とその適法性)

1 原告は、小樽市色内一丁目四番一四号に本店を有し、資本金約一億三五〇〇万円及び従業員約二五〇名をもって、港湾運送業及び倉庫業を営むものであり、北海道港運協会に加盟している。

2 訴外、地本は、昭和二一年六月全日本港湾労働組合の北海道地方における下部組織として、同地方で港湾産業及びこれに関連する事業に従事する労働者をもって、結成され、現在、小樽、函館、室蘭、苫小牧、釧路及び留萌に支部を有し、二一分会及び組合員約一五〇〇名を擁して、全北海道労働組合協議会及び北海道交通運輸労働組合協議会に加盟している。

3 地本小樽支部北日本倉庫港運分会(以下「分会」という。)は、原告の従業員により構成されている、地本の一分会であって、現在、約八〇名が加盟している。

なお、原告には、分会とは別に、北日本倉庫港運作業職員組合及び北日本倉庫港運職員組合が存在し、それぞれ、原告従業員約六〇名を擁している。

4 昭和五二年三月五日、地本は、全日本港湾労働組合と連名で、北海道港運協会加盟の一六社に対し、基本給の一律三万円引上げほか三項目を内容とする要求書を提出し、右一六社と、同月一七日に第一回目の、同月二六日には第二回目の集団団体交渉をもったが、妥結をみるに至らなかった。

5 地本は、各支部各分会に対し、昭和五二年三月八日付文書をもって、各支部各分会ごとに春闘のストライキ権投票を行うよう指示した。

それを受けた分会は、同月一八日及び一九日にストライキ権投票を行い、同月二三日に至り、地本が各支部各分会のストライキ権投票を集約した結果、投票総数一五四六票中一五一六票の賛成により、地本のストライキ権が確立された。

6 地本各支部各分会は、地本の指令により昭和五二年三月二九日には始業時三〇分の職場集会を、同月三〇日には午後からの半日ストライキを実施した。

7 昭和五二年三月三一日午前九時過ぎ、原告の初山営業部次長(以下「初山」という。)及び北口札幌支店次長が、分会事務所に分会の瀬川執行委員長(以下「瀬川」という。)を訪ね、同人に対し、前日の半日ストライキ後荷主関係から原告に苦情が来ている旨伝え、原告の置かれている状態を分会員に話したいと申し入れたところ、瀬川はそれを承諾した。

8 同日午前一〇時ころ、初山は、原告の宮川常務取締役営業部長(以下「宮川」という。)らに対し、営業部として原告の窮状を全社員に訴えるつもりでいる旨報告した。

9 同日午前一一時ころ、原告の池田常務取締役(以下「池田」という。)が、原告本店三階に瀬川を呼び出したが、途中から同席した初山が原告の窮状を再度瀬川に説明したところ、瀬川は事情はわかるが、自分から全分会員に話すことには限度があるので、原告から来て全員に詳しく説明してもらいたいと答えた。

10 同年四月一日午後〇時二〇分ころ、小樽市港町四番三号に所在する、通常寄り場と称せられる原告作業員詰所に、初山ほか原告の営業担当六名が訪れた。原告の熊谷監督に紹介された後、初山は、居合せた約一〇〇名の原告従業員を前にし、マイクを通して、約一五分にわたり、いわゆるオイル・ショック及びフェリー等出現に起因する小樽港における荷役取扱量の落込み、それに伴う会社の業務量の減少、同年三月三〇日のストライキのため原告の荷役ができなかったのに郵船海陸運輸株式会社では公然と荷役が行われ、原告の荷主から苦情が来たこと等について話し、ストライキをやらないで欲しい旨述べた。

11 同年四月二日午前九時から開かれた分会三役会議の後を受け、同日午後一時から、分会事務所で、分会執行委員会が開催されたが、その席で、原告の扱いトン数が落ち込んでおり、またストライキ後、荷主から苦情が来ていることでもあるので、分会としては当分ストライキに参加できない旨決議した。

しかし、分会が当分ストライキに参加しないことになった場合、原告は前記四の集団団体交渉に参加するのか、もし参加しないとしたら本年のベアはどうなるのかという懸念が分会執行委員会で出たので、同日午後三時ころ、瀬川は、分会執行委員会を中座して、原告の井田労務部長(以下「井田」という。)に電話し、会社の考えを聞きたいことがあるので、同月四日午前九時過ぎ、分会三役が原告本店に赴きたい旨要請した。

12 同年四月四日午前九時過ぎ、瀬川、後藤分会副執行委員長、松村分会副執行委員長(以下「松村」という。)及び籾山分会書記長が、原告本店三階会議室に、池田、宮川及び井田を訪ねた。席上、瀬川が、分会としては当分ストライキに参加しない旨分会執行委員会で決めたと述べ、その場合の原告のベアについての考えをただしたところ、池田は、例年小樽の同種他業者と似たような賃上げを行っているので、本年もそのように考えている旨答えた。次いで、瀬川が、三月三〇日の半日ストライキについて賃金カットするのか否かをただしたところ、原告は、従来も短時間のものについては賃金カットをしなかったこともあるのだから、今回もカットをしないことがあり得る旨答えた。また、松村が、合理化について質問したところ、原告は、合理化は、当面考えていない旨述べた。

13 同日午前一〇時過ぎ、前記一二の分会三役四名が、地本に赴き、地本の進藤執行委員長(以下「進藤」という。)及び小笠原書記長(以下「小笠原」という。)に対し、当分会としては、当分ストライキに参加できないということを分会執行委員会で決めたので認めて欲しい旨要請したところ、進藤は、このような重要な問題を分会執行委員会だけで決定することは問題であり、認めるわけにはいかない、分会で臨時大会又はそれに見合うようなものを開いてみんなの声を聞くべきだと述べ、翌五日開催の地本執行委員会で事情を説明するよう指示した。

14 同年四月五日、地本執行委員会が開かれ、分会はストライキに参加できないと決めた旨の瀬川の報告を受けた後、進藤は、ストライキ実施について分会が全員参加の臨時大会を開催して討論するよう瀬川に指示した。

15 同年四月六日午後六時ころから開かれた、小樽港湾労働者福祉センターにおける、分会の集会において、瀬川の議題説明及び小笠原の地本の立場からの発言がなされた後、分会がストライキ不参加の可否について討論し、無記名投票を実施したところ、投票総数五六票中三四票がストライキ不参加を支持した。

16 昭和五二年四月一六日、地本は、被告に対して、前記一〇項の初山発言等は労働組合法第七条第三号に該当する不当労働行為であるとして、救済申立てを行った。

17 この申立てに基づき、被告は、調査一回及び審問七回を行い、昭和五三年五月三〇日開催の第八四〇回公益委員会議における合議の結果、前記第一項ないし第一五項の事実を認定したうえ、前記第一〇項の初山発言は、地本が、前記第五項認定のとおり、各支部各分会のストライキ権投票を集約して統一ストライキ権を確立したのに対して、分会をこれから脱落させようとする意図に基づくものであり、これは地本に対する、労働組合法第七条第三号に該当する支配介入行為と認められると判断し、その救済として、別紙主文のとおり命令したものである。

四  被告の主張に対する認否及び原告の反論

1  被告の主張に対する認否は、次のとおりである。

(一) 一項は認める。

但し、資本金の額は、正確には一億三四五四万四〇〇〇円であり、従業員数は昭和五三年五月三〇日現在で二三三人である。

(二) 二項は認める。

(三) 三項は認める。

(四) 四項は認める。

(五) 五項は不知。

(六) 六項は不知。

(七) 七項のうち昭和五二年三月三一日初山、北口の両名が瀬川と会ったことは認めるが、その余は否認する。

(八) 八項は否認する。

(九) 九項のうち初山が原告の窮状を瀬川に説明したところ、瀬川が初山に全員に詳しく説明するよう要請したことは認めるが、その余は否認する。

(一〇) 一〇項のうち「ストライキをやらないで欲しい旨」と述べたことは否認するが、その余は認める。

(一一) 一一項のうち瀬川が井田に電話し、会社の考えを聞きたいことがあるので分会三役が原告本店に赴きたい旨要請したことは認めるが、その余は不知。

(一二) 一二項は認める。

(一三) 一三項は不知。

(一四) 一四項は不知。

(一五) 一五項のうち分会がストライキ不参加の可否について討論し、無記名投票の結果ストライキ不参加を決定したことは認めるが、その余は不知。

(一六) 一六項は認める。

(一七) 一七項のうち被告が調査審問を行い別紙主文のような命令をなしたことは認めるが、その判断の当否については争う。

2  しかしながら、本件命令は次のとおり被告の予断と偏見に基づき、事実の認定及び判断に誤りのある違法な行政処分である。

(一) 地本は、左記のような労働組合法五条二項五号、八号の労働組合の民主性の要件を欠く違法な規約を有する法外組合である。

(全日本港湾労働組合北海道地方本部規約)

第二四条 この北海道地本が同盟罷業を行わんとする時は組合員又は組合員の直接無記名投票により選挙された代議員の直接無記名投票の過半数により決定する。

第三四条 役員は次の方法で選挙する。

一 執行委員長、副執行委員長、書記長及び会計監査委員は大会に於いて各支部組合員の直接無記名投票により選挙された代議員の直接無記名投票で選挙する。

二 執行委員は各支部単位とし、組合員一〇〇名迄一名、一〇一名以上は二〇〇名増す毎に一名増とし端数は二〇〇名と見做し、各支部組合員による直接無記名投票により当選した候補者を大会で代議員の信任投票で決定する。

ところで労働組合法五条は、労働委員会に対し、申立組合が右要件を具備するかどうかを審査し、この要件を具備しないと認める場合にはその申立を拒否すべき義務を課していることは明白であって、この場合の審査が単なる形式的審査にとどまるものではなく実質的にこれをなすべきものであることは同条の立法趣旨に照らし疑を容れないところである。

又、地労委において申立組合が労働組合法五条に該当するかどうかを認定するにあたっては単に形式的に申立組合の持参した規約書を見るだけではなくて正規の改廃手続が規約に従ってなされたか否かを実質的に審査しなければならないといわなければならない。それにもかかわらず、被告は申立組合が労働組合法五条の規定に適合するかどうかにつき十分実質的な審査手続をしなかったもので、これは被告が原告には何ら不当労働行為に該当する事由が無いにもかかわらず予断と偏見に基づいた一方的な立場で不当労働行為救済命令を発した重要な証左というべきである。従って、そのような意味で原告は申立組合が労働組合法五条の要件を具備しないことを不当労働行為の成立を否定する事由として主張することにより(不当労働行為の救済を受ける資格を欠くのに救済を与えたという手続的瑕疵を主張するものではない)救済命令の取消を求めるものである。

(二) 被告が不当労働行為であると認定した昭和五二年四月一日のいわゆる初山発言は、次の理由により全く不当労働行為に該当しないものというべきである。

(1) すなわち原告は港湾運送事業法二条二号、三条二号により運輸大臣の免許を受けて港湾運送事業を営む者であるが、特に小樽港において船内荷役事業を営むことの出来る会社は原告と訴外郵船海陸運輸株式会社(以下郵船海陸という)の二社のみである。

(2) 郵船海陸の従業員組合は原告の労働組合と同様地本に加盟していたが、昭和五一年四月二九日三名の組合員を除いて地本から脱退した。

脱退の理由は船会社の強い要請によりコンテナ運搬船「清崎丸」をスト除外船にするようにとの郵船海陸従業員組合の地本に対する要請を拒否されたからである。

(3) その後郵船海陸は、自分の会社は原告と違ってストライキをしない会社になった旨顧客をはじめ各方面に宣伝したため、原告は真偽の問合せ、苦情ひいては顧客が郵船海陸に移行する等営業上多大の支障を蒙るに至った。

(4) ところで、原告の経被基(ママ)盤は船内作業が主であるが、オイルショックの影響による国内外貨物の減少及びフェリー貨物輸送の台頭によりここ数年の船内作業実績は昭和四八年、四九年頃には一ケ月平均七万三〇〇〇トン位であったのが昭和五〇年、五一年には一ケ月平均六万トン位にまで下落するに至った。

小樽港自体、釧路、室蘭、苫小牧等の北海道内の他の港に比較して年々斜陽化している状態にあり、これも原告の営業実績に直接間接に多大の影響を及ぼすに至った。

(5) このような中で地本は北海道港運協会加盟の一六社に対し基本給の一律三万円引上げその他三項目の要求貫徹のため昭和五二年三月二九日に始業時に三〇分食い込む職場集会を、同月三〇日に午後からの半日ストライキを実施した。

この三月三〇日の地本のストライキの際も郵船海陸はストをすることなく平常通り業務を遂行した。

(6) そこで原告の営業部に第一木材商事、フタバ倉庫、北海道通運、三井物産、新日本製鉄等の顧客から苦情が殺到した。

顧客の中には仕事の依頼を郵船海陸に切り換える旨言明する会社が何社も生じてきたので、初山をはじめとする原告営業部においては原告の営業成績の低下ひいては原告の前途に大きな危機感を持つに至った。

(7) このような状態の中で、同年三月三〇日午後四時頃初山営業部次長と北口札幌支店次長は、ここ数年の原告の営業成績の著しい低下と三月三〇日の半日ストライキに対する各荷主の苦情の申入れの実情について全従業員に知ってもらいたいと考えたので、地本北倉分会において瀬川分会執行委員長に会って前記のような説明をし、この内容を瀬川の方から全従業員に話してくれるよう要望した。

これに対して瀬川は自分も原告の一従業員として原告の取扱貨物の急激な減少については膚で感じていたので初山の言うようにこのような原告の実情を全従業員に知ってもらう時期であるとして初山の考えに賛同したが、瀬川が全従業員に話すことについては瀬川自身が一作業員であり、原告の営業の実態及び営業と荷主との関係については正確かつ明確な説明が出来ないので直接営業に関与している初山自身が直接従業員に話すのが適切である旨言ったので初山もこれを了承した。

(8) そこで、初山は同年四月一日午後零時二〇分頃原告作業員詰所で約一五分から二〇分位の間(証拠略)記載のようなオイルショック後の小樽港における荷役取扱量の落ち込み、原告の営業成績の低下、競争会社たる郵船海陸に顧客を奪われつつある現状について話をしたのである。

(9) 以上の次第で要するに、

<1> 初山は、会社の役員でもなく労務管理部門の人間でもなく当時作業員詰所にいた従業員が殆んど知らない人間であるうえ、会社とは関係なく同じ会社の従業員として意見を表明したにすぎない。

<2> 当時初山には不当労働行為の意思はなく、話の中でストをやらないでくれという直載的な表現はしていない。初山発言は、小樽港の現況及び郵船海陸に押され勝ちな原告の営業状態を客観的かつ正確に述べたものにすぎない。しかもその内容は一般従業員には多分に難解な専門的な営業分野に属していたため、殆んど理解されなかった。

従って、右発言の内容・程度には強制又は、威嚇並びに利益誘導の表現は含まれていないので、組合の自主性を害するものとは到底考えられず、憲法上使用者に許された言論の自由の範囲内にある。

<3> 初山が四月一日に従業員に話をするに至った経過、特に瀬川分会執行委員長の要請によってなされたものであることを考えると初山の発言には社会的にみて十分な相当性が存在する。

<4> 初山発言を聞いたからといって従業員がストライキをするかしないかの意思決定の自由を全く奪われたわけではないばかりか、地本分会がストを中止するに至ったのは分会自体の自由な意思決定によるもので初山発言が直接的な原因とはなっていない。

五  原告の反論に対する被告の認否及び主張

1  被告の予断と偏見について

原告主張事実2(一)は否認する、原告指摘の地本の規約は、昭和五三年一月二八日改正前のものであり、右改正後の規約の各条項は労働組合法五条二項各号の規定に適合するものである。被告は右規約に基づいて地本をいわゆる法内労働組合と認定した。又、原告は、申立組合に対する資格審査は、形式的審査にとどまるものではなく、実質的になすべきである旨主張しているが、最高裁判所昭和三二年一二月二四日判決(最高裁判所民集一一巻一四号二三三六頁)が労働委員会に実質的審査を要求しているのは労働組合法二条の要件のみについてであって、同法五条二項の要件については形式的審査で足りると解すべきである。従って、被告は、地本から提出された規約を形式的に審査した結果、同法五条二項の要件について具備されていると判断したものである。

2  事実の認定及び判断について

原告主張事実2の(二)(1)は認める。

(2)のうち郵船海陸の従業員組合が地本に加盟していたが、昭和五一年四月二九日三名の組合員を除いて地本から脱退したことは認める。その余の事実は否認。

(3)、(4)は不知。

(5)は認める。

(6)は不知。

(7)は否認。

(8)は認める。

(9)は争う。

第三証拠(略)

理由

一  本件命令

原告の請求原因1の事実は当事者間に争いがない。

ところで、本件命令は要するに昭和五二年四月一日の初山営業部次長の原告会社従業員に対する発言(以下「初山発言」という。)が地本に対する支配介入に該当する不当労働行為であるというのであり、これに対し、原告は(一)被告の右認定は不十分な資格審査手続にみられる如く、被告の予断と偏見に基づくものであること(二)初山発言をもって地本に対する支配介入と認定・判断することはできないことから、いずれにしても本件命令は違法として取消されるべきであると主張する。

そこで、被告委員会の資格審査並びに事実認定及び判断の当否を中心に本件命令が違法であるか否かについて検討する。

二  資格審査について

(証拠略)によれば、次の事実が認められる。

地本の昭和五三年一月改正以前の規約には、その第二四条において同盟罷業を行なう場合は代議員による直接無記名投票によって決定されうる旨定められ、又、第三四条において組合役員の選挙は代議員の直接無記名投票で選挙する旨定められており、右条項は労働組合法五条二項八号及び五号の各要件に違反していた。そこで、地本は、昭和五三年一月二八日に小樽港湾労働者福祉センターにおいて臨時大会を開き、いずれも組合員の直接無記名投票により決定、選挙される旨改正し、被告に資格審査のため、右改正後の規約を旧規約と差し替えて提出した。被告は、右規約書等を審査し、同年五月三〇日開催の第八四〇回公益委員会議において、地本が労働組合法二条及び五条二項の規定に適合するとの決定をした。

なお、(証拠略)の第三三回定期大会議案書には右規約改正のための臨時大会が開催された旨の記載がないけれども、右進藤証言によれば記載もれであることが認められる。又、(人証略)には、地本の規約が改正されたことは聞いていない旨の供述があるが、当日の春闘討論集会を午前中で終えた後午後臨時大会に切り替え規約改正を行なったとの直接的な右進藤証言に比し、いずれも間接的で措信できないし、その他右認定を覆すに足りる証拠はない。

右認定の事実によれば、労働組合法五条二項五号及び八号に当初違反していた地本の規約は前記臨時大会で同法に適合するように改正されており、しかも労組法五条一項は労働組合の自主性・民主性を確保・促進させようとする見地から設けられた規定であるという立法趣旨からすると、労働委員会の申立組合が労組法五条二項に適合するか否かの審査は形式審査で足りるものと解すべきであるから被告が地本から提出された改正後の規約等を基に地本の労組法五条二項の適合性を審査し適法組合と認定した被告の措置に何ら不十分な点があるとは認められず、まして、これをもって被告が予断と偏見をもって不当労働行為の有無の審査をしたという証左とすることはできない。従って、この点に関する原告の主張は採用しない。

三  初山発言について

1  (証拠略)を総合すると、次の事実が認められる。

(一)  当事者等

原告は、肩書地に本社を置き、港湾運送業(特に船内荷役事業は原告の事業の約七〇パーセントに及ぶ。)及び倉庫業を営むものであり、北海道港運協会に加盟しており、資本金は一億三四五四万四〇〇〇円で昭和五二年三月当時従業員は約二五〇名(その内作業職員は約一五〇名)であった。訴外地本は、昭和二一年六月全日本港湾労働組合(本部東京)の北海道地方における下部組織として、同地方で港湾産業及びこれに関連する事業に従事する労働者をもって結成され、昭和五二年四月当時、小樽、函館、室蘭、苫小牧、釧路及び留萌に六支部を有し、二一分会及び組合員約一五〇〇名を擁して、全北海道労働組合協議会及び北海道交通運輸労働組合協議会に加盟している。地本小樽支部北日本倉庫港運分会(以下「分会」又は「北倉分会」という。)は、原告の従業員により構成されている(大部分は船内荷役の作業員である。)地本の一分会であって、当時約八〇名が加盟していた。なお、原告には、右分会とは別に、北日本倉庫港運作業職員組合及び北日本倉庫港運職員組合が存在し、それぞれ原告従業員約六〇名を擁していた。

(二)  昭和五二年春闘

昭和五二年三月五日、地本は、全日本港湾労働組合と連名で北海道港運協会加盟の一六社に対し、基本給の一律三万円引上げほか三項目を内容とする要求書を提出し、右一六社と同月一七日に一回目の、同月二六日には二回目の集団団体交渉をもったが、妥結をみるには至らなかった。ところで、地本は、各支部各分会に対し、同月八日付文書をもって各支部各分会ごとに春闘のストライキ権投票を行うよう指示し、それを受けた各分会は、同月一八日及び一九日にストライキ権投票を行い、同月二三日に至り、地本が右投票を集約した結果、投票総数一五四六票中一五一六票の賛成(約九八パーセントの賛成)により、地本のストライキ権を確立した。なお、小樽支部では、賛成三〇九名に対し、反対はわずか七票であった。そこで、地本各支部各分会は、地本の指令により、同月二九日始業時三〇分の職場集会を、同月三〇日午後からの半日ストライキを実施した。

(三)  初山発言に至る経緯

昭和五二年三月三一日午前九時過ぎ、原告の初山営業部次長及び北口札幌支店次長は、分会事務所に分会の瀬川執行委員長を訪ね、同人に対し、前日の半日ストライキの後荷主から原告に多数の苦情が来ている旨伝え、原告の置かれている状況を従業員に話したい旨申し入れたところ、瀬川はそれを承諾した。そこで、午前一〇時ころ、初山は、原告の宮川常務取締役営業部長及び井田労務部長に対し、営業部として原告の窮状を全従業員に訴えるつもりでいる旨報告した。同日午前一一時ころ、原告の池田常務取締役が、原告本店三階に瀬川を呼び出し、宮川及び井田と共に話合いをした。途中から呼ばれて同席した初山が原告の窮状を全従業員に知らせるべきであると再度意見を述べたところ、瀬川は、その必要を再び認め「事情はわかるが、自分から全分会員に話すことには限度があるので、原告から来て全員に説明してもらいたい。」と答え、池田らもこれを了承した。(人証略)中右認定に反する部分はその後の初山の言動に鑑み措信できない。

同日夜、初山は、翌日従業員に対し話す原稿(<証拠略>)を書いた。

(四)  初山発言

同年四月一日午後〇時二〇分ころ、初山は、小樽市港町四番三号にある通常寄り場と呼ばれている原告作業員詰所に、北口札幌支店次長、秋山経理担当次長、一瀬課長、松下倉庫課長、佐藤課長代理、新谷課長代理と共に訪れた。原告の熊谷監督が前もって「今日会社から来て皆さんに話がありますので昼休みどこへも行かないで下さい。」と紹介していたためそこには約一〇〇名の原告従業員が昼食等をしていた。初山は右従業員に対し、マイクで前日書いた原稿に基づき約一五分にわたって、いわゆるナイルショック及びフェリー等出現に起因する小樽港における荷役取扱量の落込み、それに伴う会社の業務量の減少に加え、同年三月三〇日のストライキのため原告の船内荷役ができなかったのに競争会社である郵船海陸では公然と荷役が行われ、ストライキがないことを商域拡大の絶好の武器として外部に触れ回り内部では北倉をぶっ潰すとまで豪語している程であり、このままでは原告の荷主は郵船海陸にとられてしまうこと等について話した。原告会社では従来このような話が右のような形で会社幹部によってなされたことはなかった。

右初山発言をきいた一般従業員は、初山は今春闘で予定されているストライキを止めてくれといっているものと受けとめた。

(五)  初山発言後の分会の状況

同月二日午前九時から開かれた分会三役会議の後を受け、同日午後一時から、分会事務所で分会執行委員会が開かれ(九名中八名の委員が出席した)、その席で、原告の扱いトン数が落ち込んでおり、ストライキ後、荷主から苦情が来ていることでもあるので分会としては当分ストライキに参加できない旨の決議がされた。しかし、分会が当分ストライキに参加しないことになった場合、原告は集団団体交渉に参加するのか、否か、もし参加しないとしたら本年のベアはどうなるのかという懸念が分会執行委員会で出たので、同午後三時ころ、瀬川は、中座して原告の井田労務部長に電話し、これらのことに対し、会社の考えを聞きたい旨伝えた。同月四日午前九時過ぎ、瀬川分会委員長、後藤、松村各分会副執行委員長と籾山分会書記長が、原告本店三階会議室に、池田、宮川、井田の会社幹部を訪ねた。瀬川が、分会としては当分ストライキに参加しない旨分会執行委員会で決めたが、その場合の原告のベアについての考えはどうかと尋ねたところ、池田は、例年小樽の同種業者と似たような賃上げを行っているので、本年もそのように考えている旨答えた。次に、瀬川が、三月三〇日の半日ストライキについて賃金カットされるか否かをただしたところ、会社側は、従来も短時間のものについては賃金カットをしなかったこともあるのだから、今回もカットをしないことがあり得る旨答えた。又、松村が、合理化について質問したところ、会社側は、合理化は当面考えていない旨答えた。そこで同日午前一〇時過ぎ、分会三役四名が、地本に赴き、地本の進藤委員長及び小笠原書記長に対し、当分会としては当分ストライキに参加できないと分会執行委員会で決めたので認めて欲しい旨要請した。しかし、進藤は、「このような重要な問題を分会執行委員会だけで決定することは問題であり、認めるわけにはいかない。分会で臨時大会又はそれに見合うようなものを開いてみんなの声を聞くべきだ」と述べ、翌五日開催予定の地本執行委員会で事情を説明するよう指示した。翌五日開かれた地本執行委員会では、分会はストライキに参加できないと決めた旨の瀬川の一時間にわたる報告を受けた後、進藤は、ストライキ実施につき分会は全員参加の臨時大会を開催して討論するよう瀬川に指示した。そこで四月八日に地本の二四時間ストが予定されていたため急遽同月六日午後六時ころ、小樽港湾労働者福祉センターにおいて分会の集会が開かれ、瀬川のスト不参加の説明及び小笠原の地本の立場からのストライキに参加するようにという呼びかけがなされた後、分会のストライキ不参加の可否について討論して無記名投票を行った。その結果、投票総数五六票中三四票が分会のストライキ不参加を支持した。

(六)  以上に認定したところによると、被告が本件命令において認定した事実は細部については格別、その大綱は十分に肯認することができ本件命令には事実認定の誤りがあるとすることはできない。また後記認定のように右事実認定に基づき被告が初山発言を捉えて不当労働行為に該当するとした判断にも違法はない。

2  ところで原告は、更に本件命令には原告の反論四の2の(二)項に述べるとおり事実認定・判断に誤りがあると主張するのでなお検討を加える。

(一)  初山の地位(初山発言と原告の責任)

原告はまず、初山は、原告会社との無関係の立場で発言したものであるとして、初山発言の責任を原告に帰せしむることは許されない旨主張する。

そして、前掲各証拠によれば、初山は原告の役員ではなく労務管理部門に属する者でもなく、当時原告作業員詰所にいた従業員が殆んど知らない人間であったことが認められる。

しかしながら、いわゆる支配介入の主体となる者は常に使用者本人又はその代表者ないし労務管理部門の責任者に限られるべきものではない。すなわち、集団的労働関係における不当労働行為であるいわゆる支配介入の主体である使用者とは雇主である使用者のほか実質的に使用者の利益を代表する者をも包含し、それらの者につき支配介入行為があったときは、使用者はその責に任ずべきものと解するのが相当である。

これを本件についてみると、前示のとおり初山は原告会社の営業部次長であり、当日作業員詰所に出席したその余の六名もいずれも営業関係の幹部であるうえ、初山は発言する前に井田労務部長、池田、宮川の各常務取締役に対し、前記趣旨の発言をする旨報告し、その承認を受けているのであるから、原告会社の役員の意思を受けた実質的に原告の利益を代表する者に該るというべきである。

なお、初山発言の内容も一個人一従業員としての立場のものではなく、原告の経営上のものであり、更に当日の熊谷監督の紹介でも「今日会社から来て皆さんに話がありますので昼休みどこへも行かないで下さい。」と述べられている。これらの点から判断しても、初山は、原告会社の利益を代表するものとして発言したものというべきであって、初山は会社とは無関係に発言した旨の原告の主張は到底採用できない。

(二)  初山発言の内容

原告は次に、初山は会社の窮状を正確に述べたにすぎず、ストライキをやらないで欲しいとは述べていないことを理由に初山は不当労働行為意思はなく初山発言の内容、程度では言論の自由の範囲内であるから初山発言は支配介入にあたらない旨主張する。

なるほど、前掲各証拠によるも初山は「ストをやらないで欲しい」との直接的表現を用いていることは認められないけれども、このことをもって直ちに初山には不当労働行為意思はないということはできない。

なぜならば、初山発言の内容は前示のとおりであり、要するに三月三〇日のようなストライキを行なえば、ストライキのない競争会社である郵船海陸に荷主がとられてしまい、原告会社は窮地に陥る、従ってストライキはやめて欲しいという内容であるということができ、これは組合員に対し、地本の争議行為を批判し、今後のスト中止を呼びかけたものであるからである。

更に、そもそも使用者側の発言が支配介入行為に該当するか否かは、右発言の内容、程度のみではなく、その発言のなされた時期、場所、機会、動機、目的、相手、組合員に対する影響力等発言時のみならず、その前後の諸情況を総合的に考慮したうえ判断されなければならないものである。そしてこれを表現の自由との関係で考えると、もとより使用者側にも表現の自由があり労使関係が対立状況にあるときでも、自らの意思によって集まった労働組合の組合員に会社の苦境その他を説明し、会社の実情を訴えてストライキの不当性を説き、協力を要請すること自体は、使用者に法律上許された表現の自由の範囲内に属するものといわなければならないけれども、それがなされる日時、場所、対象等の前示の諸情況に照らし、表現の内容、程度が団結に影響を与えるおそれのある組合員に対する強制的、威嚇的効果を有したり組合員を非常に萎縮させる如きものと認められる場合には団結権等に対する不当な干渉として排除されるべきである。

これを本件についてみると、前示認定の事実関係からすれば初山は他の幹部六名と共に春闘最中、三月三〇日の地本のストライキの直後であって四月八日には二四時間ストライキが予定されている時期に、何らの慣行がないにも拘らず昼食のため原告会社の従業員が多数集まっている従業員事務所に出向き、直接組合員らに対し地本の組合活動に対する非難を含む前記内容の発言をしたのであるから、その内容中に会社の現状を相当正確に訴える部分があり、また表現自体にはスト中止を呼びかける直接的発言あるいは利益誘導や不利益取扱の言辞がなくとも、初山の右発言の意図は地本の統一ストから北倉分会を離脱させストライキのない会社にしたいとするものであることが認められ、その後の分会のスト中止に与えた実際の影響をも考え合わせると、右発言は分会組合員らに対し、原告会社の将来への強い危機感を与え、団結権に影響を与えるおそれのある威嚇的効果を有するものと認めることができ、初山発言は、やはり使用者側に許された表現の自由の範囲を超えたものであって、地本の運営に対する支配介入となることについては変りがないものといわなければならない。

従って、この点に関する原告の主張も採用できない。

(三)  初山発言に至る経緯(初山の動機と瀬川の同意)原告は、初山発言に至る経緯には原告会社の厳しい状況と瀬川分会執行委員長の同意があるが故に社会的にみて相当性があると主張する。

(証拠略)を総合すると、原告会社の営業成績は低下していること、三月三〇日の半日ストライキに対しフタバ倉庫、第一木材商事等の各荷主から厳しい苦情が来たことから初山ら営業部の者が、原告の顧客が対立会社に移るのではないかと心配し原告会社の今後の営業に危機感をもったこと、そして右危機感が初山発言をさせたきっかけとなった事実を認めることができる。

なるほど右初山発言のきっかけには会社の幹部として無理からぬ点がないわけではないけれども、使用者側としては、原告会社の右諸情況等については団体交渉等の相当な方法で組合員に対し説得するのが本筋というべきであって、右の事情があるからといって、団結権に対し不当な侵害にわたる手段、方法をとることが言論の自由として許される訳のものではない。

前示のとおり、初山には地本のスト権確立後これから分会を離脱させる意図があったと認められ、初山発言は言論の自由の範囲を超えた不当なものであって、組合に対する不当な支配介入行為であると認定するに、何等妨げとなるものではない。

又、前示のとおり、分会執行委員長の瀬川が、初山が発言することに同意したことも明らかであるが、前掲各証拠によれば瀬川は地本の執行部ではなく分会三役の一人であるにすぎないうえ、右発言は地本のスト権確立と明らかに対立するものであるから地本の執行部の同意があったとは到底いえず、前記認定を覆すには足りない。

従って、原告の社会的相当性の主張も理由がないものである。

(四)  初山発言と分会のスト中止との関係(初山発言の影響)

原告は分会のスト中止と初山発言とは直接の因果関係がない旨主張する。

しかし、組合に対する不当な支配介入の行為があれば、その結果が発生することは必ずしも不当労働行為を認定するための要件とはいえないし、本件においては、前記認定の初山発言後の分会のスト中止に至る状況、及び昭和五二年の春闘においては、北倉分会を含む地本小樽支部ではスト権確立に賛成したのは三〇九名であるのに対し反対票は七票にすぎなかった事実等を合わせ考えれば、初山発言は分会組合員に対しストライキ中止への相当の影響力をもっていたものと推認することができる。

なお、証人瀬川は、ストの結果あまりにも荷主の苦情が激しかったから、自主的に四月二日の分会三役会議を招集したのであって、初山発言とは無関係である旨証言するが、これは右証言に反する(人証略)の右分会三役会議に関する詳細な証言に鑑み措信しえないし、他に右認定を覆すに足りる証拠はない。

従って、原告の主張はいずれにしても理由がない。

(五)  まとめ

以上説示したように、昭和五二年四月一日の初山発言の責めは原告会社にあるというべきであり、初山発言の内容、程度は使用者に許された言論の自由の範囲を超えたものであり、右発言に至る経緯には無理からぬ点がないではないけれどもその手段、方法はその時機等に鑑み団結権に対する不当な侵害に当り、その後の分会のスト中止へ相当の影響力を与えたものと認めることができ、被告の事実認定、判断には原告主張のような誤りはなく、右認定、判断に誤りがあるとする原告の主張はいずれも採用できない。

四  結論

従って、本件命令の違法事由として原告の主張するところはすべて理由がなく前示認定事実から初山発言は組合運営への支配介入に当ると認めることができ、これを不当労働行為と認めた本件命令は適法であるからその取消を求める原告の請求は理由がない。

よって、これを棄却することとし、訴訟費用の負担につき、行政事件訴訟法七条、民事訴訟法八九条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 長濱忠次 裁判官 安井省三 裁判官島田充子は転任のため署名、捺印することができない。裁判長裁判官 長濱忠次)

(別紙) 主文

一 被申立人は、申立人小樽支部北日本倉庫港運分会構成員に対し、申立人が確立した統一ストライキからの離脱をすすめる言動を行うなどして、申立人の運営に支配介入してはならない。

二 被申立人は、下記内容の陳謝文を、縦一・五メートル、横二メートルの木製厚板にかい書で墨書し、小樽市港町四番三号に所在する、通常寄り場と称せられる会社作業員詰所正面入口付近の見易い場所に、この命令交付の日から二日以内に五日間掲示するとともに、同文の書面(相当の用紙を用いるものとし、同書面の被申立人取締役社長の名下に押印すること。)を、申立人に手交しなければならない。

陳謝文

会社が、貴組合小樽支部北日本倉庫港運分会構成員に対し、貴組合が確立した統一ストライキからの離脱をすすめる言動を行ったことは、労働組合法第七条第三号に該当する不当労働行為でありました。

ここに深く陳謝致しますとともに、今後かかる行為を絶対に繰り返さないことを誓います。

昭和五三年 月 日

(命令交付の月日を入ること)

北日本倉庫港運株式会社

取締役社長 館林滋

全日本港湾労働組合北海道地方本部

執行委員長 進藤春男殿

三 申立人のその余の申立ては、棄却する。

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