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最高裁判所第二小法廷 昭和52年(オ)268号 判決 1977年6月20日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人堀田貢の上告理由第一点及び第二点について

借地上の建物の譲受人が、地主から提起された右建物の収去及び敷地の明渡を請求する訴訟の事実審口頭弁論終結時までに、借地法一〇条の建物買取請求権があることを知りながらその行使をしなかつたとしても、右事実は実体法上建物買取請求権の消滅事由にあたるものではなく、したがつて、建物譲受人はその後においても建物買取請求権を行使して地主に対し建物の代金を請求することができるものと解するのが相当である。これと同旨の原審の判断は正当であり、原判決に所論の違法はない。論旨は、採用することができない。

同第三点の一について

記録によつて明らかな本件訴訟の経過に照らし、原判決に所論審理不尽の違法はない。論旨は、採用することができない。

同第三点の二について

原審の適法に確定した事実関係のもとにおいて、被上告人が本件建物買取請求権行使を撤回したものとはいえないとした原審の認定判断は、正当として是認することができ、また右行使が権利の濫用にあたるとも解されない。原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 岡原昌男 裁判官 大塚喜一郎 裁判官 吉田 豊 裁判官 本林 譲 裁判官 栗本一夫)

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