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最高裁判所第二小法廷 昭和51年(オ)862号 判決 1979年7月20日

上告人

高木克芳

右訴訟代理人

増岡章三

對崎俊一

被上告人

篠崎秀一

被上告人

山田喜代

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人増岡章三、同對崎俊一の上告理由第一について

地方裁判所における審理に判事補の参与を認める規則(以下「参与規則」という。)がいかなる意味においても二人合議制を採用したものではなく、したがつて、参与規則が二人合議制を採用したものであることを前提とする憲法三二条違反の主張(上告理由書には「憲法三三条」と記載されているが、右は憲法三二条の誤記と認められる。)がその前提を欠くものであること、また、参与規則が二人合議制を採用したものでなく、参与判事補の意見は判事補養成の一方法として述べさせるものである以上、そのことによつて偏頗・不公平のおそれのある組織や構成をもつ裁判所による裁判がなされるものでないことが明らかであつて、憲法七六条違反の主張もその前提を欠くものであることは、いずれも当裁判所の判例(最高裁昭和五〇年(あ)第一八〇二号同五四年六月一三日第二小法廷決定・裁判所時報七六五号一頁参照)とするところである。さらに、参与規則は二人合議制を採用するものでなく、なんら当事者の重要な利害や民事訴訟の基本構造に関する事項を規定しているものでもないのであるから、憲法七七条違反の主張がその前提を欠くものであることも右判例の趣旨に徴して明らかである。したがつて、論旨は、上告適法の理由にあたらないから採用することもできない。

同第二について

原審が適法に確定した事実関係のもとにおいては、訴外亡篠崎義直が、被上告人秀一に対し、第一審判決別紙物件目録(一)記載の土地に対する賃借権を譲渡したことにつき賃貸人に対する背信行為であると認めるに足りない特段の事情があるとした原審の判断及び上告人の先代高木秀男が右義直に対してした右賃借権についての賃貸借期間の満了に伴う更新拒絶の意思表示には正当事由があるとは認められないとした原審の判断は、いずれも正当として是認するに足り、原判決に所論の違法はない。論旨は、独自の見解に基づいて原判決を論難するものにすぎず、採用することができない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(鹽野宜慶 大塚喜一郎 栗本一夫 木下忠良 塚本重頼)

上告代理人増岡章三、同對崎俊一の上告理由

第一、原判決における憲法違反について

(一) 本件の審理にあたり、第一審裁判所は、昭和四九年五月二二日の口頭弁論期日において、「地方裁判所の審理に判事補の参与を認める規則」に基づき、所謂未特例判事補を審理に参与させる旨の決定をなした。これに対し、上告人(原告)は、異議を述べるとともに同決定の取消を求めたが、結局、同決定は維持されたままに弁論終結に至つたものである。

(二) ところで、右規則は、裁判官の間に上命下服の関係にある二人合議制の裁判所を創設したものであるが、これは裁判官の独立を侵害する制度として憲法第七六条第三項に違反するものであり、また、憲法第七七条で最高裁判所に認められた規則制定権の範囲を超え、国会の専権に属する立法事項を定めたものであつて、いずれにしても違憲無効といわなければならない。

従つて、このような違憲無効の規則に基づき構成された裁判所の裁判は、憲法第三三条に定められた国民の基本的権利を侵害するもので、同条に違反しているものである。

(三) 上告人は、原審口頭弁論においても、以上の趣旨を述べ、第一審判決を取消すべき旨を主張したのであるが、結局、これは容れられないまま第一審判決を維持する原判決がなされた。このことは、原審裁判所が、右(二)に指摘した第一審裁判所の重大な憲法違反をそのまま追認したものとして第一審裁判所におけるのと同様の憲法違反を犯していることを意味している。

よつて、原判決は直ちに取消されるべきである。

第二、原判決における法令適用上の誤りについて<省略>

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