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最高裁判所第二小法廷 昭和42年(オ)418号 判決 1968年9月27日

上告人

中西喜平

代理人

石原金三

下村登

野尻力

被上告人

松崎賢治

代理人

岩田孝

主文

原判決を破棄する。

本件を名古屋高等裁判所へ差し戻す。

理由

職権によつて按ずるに、本件記録によれば、原審第七回口頭弁論調書には立会書記官の氏名が記載されていない。而して、書記官の立会に関する事項は、口頭弁論の方式に関する事項であり、民訴法一四三条二号によれば、口頭弁論調書中の、立会書記官の氏名の記載は、調書の形式的記載事項とされ、一四七条によれば、右の方式に関する規定の遵守は口頭弁論調書によつてのみ証明できるとされているのであるから、立会書記官の記載を欠く口頭弁論調書をもつては、当該口頭弁論期日に書記官の立会がされた事実を証明するに由なく、当該口頭弁論調書は、その期日調書を作成する権限を有する者によらずして作成された調書ということになり、その効力を認めるべきではない。従つて、原審第七回口頭弁論調書は、調書としての効力を認めがたい。しかるところ、右口頭弁論調書には原審口頭弁論終結が告知された旨の記載があるから、右調書の効力が認めがたいものである以上、原審は何時口頭弁論を終結したか、その時期が明らかでないこととなる。すなわち、原審第六回口頭弁論調書には続行期日の指定がなされており、右期日後に口頭弁論終結決定がなされた事実は記録上認められないのであるから、原審口頭弁論終結の時期が明らかでないものといわなければならない。それ故、原審における最終の口頭弁論に関与した裁判所の構成が明らかでなく、判決書に署名した裁判官が基本たる口頭弁論に関与した者であるとは認めがたい。

従つて、原判決には民訴法三九五条一項一号の違法あるものというべく、原判決は破棄を免れない。なお付言するに、本件所有権登記手続の請求が、中間省略による登記手続の請求であるならば、中間者をも含めて三者間の合意によらなければならないことはもとよりである。

よつて、原判決を破棄して本件を名古屋高等裁判所へ差し戻すこととし、民訴法四〇七条に従い、裁判官全員の一致で主文のとおり判決する。(奥野健一 草鹿浅之介 城戸芳彦 石田和外 色川幸太郎)

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