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最高裁判所第二小法廷 昭和41年(オ)554号 判決 1966年9月30日

上告人(被告・控訴人) 関信用金庫

右訴訟代理人弁護士 林千衛

被上告人(原告・被控訴人) 安江とも

同 安江孝弘

同 安江正司

右法定代理人親権者母 安江とも

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人林千衛の上告理由第一点について。

所論福井証言が乙六号証について言及していないことは所論のとおりであるが、乙六号証が証拠価値の低いものであることは、その記載内容自体に照らして明らかであるから、所論の瑕疵は判決に影響を及ぼさず、論旨は採用するに値しない。<以下省略>

(裁判長裁判官 奥野健一 裁判官 草鹿浅之介 裁判官 城戸芳彦 裁判官 石田和外 裁判官 色川幸太郎)

上告代理人林干衛の上告理由

第一点原判決は、左の通り理由齟齬(民事訴訟法三九五条六号)があり、破棄を免れない。

原判決は理由(二)において、

「乙第六号証はその成立に争ないけれども、当審証人福井幸男の証言と対比して考えると、甲第五号証の一、二、第六号証の一、二の各印鑑証明書は、被控訴人安江とも、同安江孝弘が各自らその交付を受けたものと断定することは困難である……」

といっている。

しかし、原(第二)審証人福井幸男(ともの義兄)は、同証人調書にも明らかな通り、その証言はすべて双方間の示談交渉の経過についてであって、右の印鑑証明書あるいはこれに関連する事項については、全く言及しておらぬ。従って、乙第六号証(昭和三九年二月一七日附岐阜県白川町長より原審山口裁判官宛回答書=七六九丁-右印鑑証明書は「本人が出頭交付を受けられたのではないかと思います」というもの)と、右の福井証言とは、「対比」のしようがないものである。かくの如く、「対比」しようのないものを「対比」して、右のような重要な点について判断を下した原判決のこの認定は、理由に齟齬ありといわねばならぬ。

因みに、右の印鑑証明書の交付をうけた者が何人であるかは、本件において重要な争点であるから(第一審判決は沢田支店長がとも等に無断で交付をうけたと認定し、原判決も右のように説示してこれを支持している)、この過誤が判決に影響を及ぼすことは明らかである。

第二点<以下省略>

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