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最高裁判所第二小法廷 昭和35年(あ)2226号 決定 1961年3月20日

主文

本件各上告を棄却する。

理由

被告人小西聖夫、同吉福寿一郎の弁護人木崎為之、同植田完治、同布井要一、同木崎良平の上告趣意一(1)、(2)は、いずれも単なる法令違反の主張、同(3)は事実誤認、単なる法令違反の主張であり、被告人並木軍平、同宇都宗昭の弁護人岡田善一の上告趣意(一)、(二)は、いずれも単なる法令違反の主張であって、すべて刑訴四〇五条の上告理由に当らない。(なお、「公職選挙法一四二条により頒布を禁ぜられている文書図画とは、同条所定の通常葉書以外の選挙運動のために使用するすべての文書図画を指称するものであり、同法一四三条一項五号に規定するポスターの如きも検印を受けた場合を除いては、これを頒布することは許されない趣旨と解すべき」こと並びに、「同法一四二条の選挙運動のためにする文書図画の頒布とは、右文書図画を不特定又は多数人に対して配布することを要するのは固よりであるが、その現に配布を受けた者が特定の少数人に過ぎない場合でも、そのものを通じて当然もしくは成行上不特定又は多数人に配布さるべき情況の下に右文書図画を配布したときは、右文書図画の頒布罪はそこに成立するものと解するを相当とする」ことにつき当裁判所判例(昭和三五年(あ)第一五一一号、同三六年三月三日第二小法廷判決)参照。又、被告人小西聖夫、同吉福寿一郎が共謀して頒布した本件名刺が選挙運動のために使用する文書に該当するとした原審の判断は正当である。)

また記録を調べても刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。

よって同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 藤田八郎 裁判官 池田克 裁判官 河村大助 裁判官 奥野健一 裁判官 山田作之助)

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