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最高裁判所第二小法廷 昭和32年(オ)91号 判決 1958年3月28日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人田崎文厚の上告理由第一点について。

論旨は、無担保で且つ主たる債務者は履行不能の状況にあるのに、これに対し上告会社の全資産を超過する本件多額の債務につき、上告会社の唯一の資産且つ唯一の営業所兼店舗たる本件建物を物上保証等の目的に供すことは、上告会社の目的遂行に必要な行為たり得ないと主張する。

しかし、無担保であつたとの点以外の事実は、原審で主張認定されていないところであり、そして本件抵当権設定等各行為の成立するに至つた横須賀食品株式会社との間の事情に関し、原判決の認定及びその引用する第一審判決説示の如き経緯等、各般の事実を綜合するときは、本件抵当権設定等各行為は、上告会社の営業目的を遂行するに必要であり得るもので、その目的の範囲内の行為であるとした、原判決の判断はこれを肯認することができるから、原判決には所論の違法はなく論旨は採用できない。

同第二点、第三点について。

本件被担保債権の存在については、原判決が詳しく認定説示するところである。そして原判決は、所論「昭和二十八年十月六日」の日附が被担保債権成立の日附と違つているならば、その点の登記の更正は他に方法があるのであつて、右日附の違つているとの一事をもつて被担保債権の存在を否定しもつて本件各登記を無効と断ずることはできないというのであつて、原判決には何ら所論の違法は存しないから論旨は採用できない(なお、原判決引用の第一審判決は、本件抵当権設定等の契約の日時は十月十二、三日頃と判示しておるのであり、所論指摘の十一月十三日は乙第六号証の公正証書作成の日であるから何ら所論のくいちがいは存しない)。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 河村大助 裁判官 奥野健一)

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