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最高裁判所第二小法廷 昭和31年(あ)300号 判決 1956年5月25日

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人大蔵敏彦の上告趣意第一点について

覚せい剤取締法一四条にいわゆる所持とは、人が物を保管する実力支配関係を内容とする行為をいう(昭和三〇年(あ)二三一一号同年一二月二一日大法廷判決、集九巻一四号二九四六頁)というのは必ずしも覚せい剤を物理的に把持することは必要でなく、その存在を認識してこれを管理しうる状態にあるをもって足りると解すべきである。原判決の維持した第一審判決が挙示する関係証拠によると、被告人は同判決判示の覚せい剤五cc入注射液三七〇本の存在を認識してこれを管理しうる状態にあったことを認めることができるから、原判示は正当である。されば、論旨は、原判決の認定しない事実関係を前提とする判例違反の主張であって、刑訴四〇五条の定める上告適法の事由に該当しない。

同第二点は、事実誤認、採証法則違反の主張を出でないものであり、同第三点は量刑の非難であって、いずれも刑訴四〇五条の上告理由に当らない。また記録を調べても同四一一条を適用すべきものとは認められない。

よって同四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 栗山 茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 谷村唯一郎)

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