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最高裁判所第二小法廷 昭和28年(オ)277号 判決 1955年1月28日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人河鰭義三郎、山崎今朝弥の上告理由、同丁野暁春の上告理由及び上告人本人の上告理由は末尾添附の別紙記載のとおりである。

一、上告代理人河鰭義三郎山崎今朝弥の上告理由第一点、同丁野暁春の上告理由第一点及び上告人の上告理由第一点乃至第四点中原判決は売買に関する法令の適用を誤つた違法があるとの所論について。

原判決が「被上告組合は組合総会を開いてその所有山林の立木を売却することを決定し、監事赤城常吉等を売却交渉委員に選任して立木売込みについての交渉方を依頼したので、赤城常吉は昭和二五年五月上旬上告人に対し上告人主張の三筆の山林に生立する赤松三万石の売却方を申込み」たるものと認定判示していること所論のとおりであるが、右に「売却方を申込み」と判示する趣旨がいわゆる「契約の申込」ではなく、売買の準備的交渉の範囲を出でないものであることは原判文全体よりして明らかであるから、右の原判示を以て「契約の申込」を認定したものとする前提に立つて、上告人を権利者とする売買一方の予約が成立したものとする所論及び上告人の買受の意思表示によつて、売買が成立したものとする所論は何れも採用の限りでなく、原判決には所論のような違法は認められない。

二、上告人本人の上告理由第五点について。

原審における裁判長たる裁判官が、原審における被上告組合の訴訟代理人の女婿であるからといつて、右の事実は民訴三五条所定事項に該当せず、又これがため直ちに民訴三七条にいわゆる裁判官につき裁判の公正を妨ぐべき事情があるものとはいえないから、所論は理由がない。

三、その他の論旨は「最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関する法律」(昭和二五年五月四日法律一三八号)一号乃至三号のいずれにも該当せず、又同法にいわゆる「法令の解釈に関する重要な主張を含む」ものと認められない。(なお上告人から上告理由書と題する書面が昭和二八年八月一九日提出されているが、右は上告理由書提出期間後に提出されたものであるから、これについては判断しない。)

よつて民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 栗山茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 谷村唯一郎 裁判官 池田克)

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