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最高裁判所第二小法廷 昭和28年(あ)5680号 判決 1954年4月02日

主文

本件上告を棄却する。

当審における訴訟費用は被告人の負担とする。

理由

弁護人鈴田周蔵の上告趣意について。

本件においては、第一審判決の認定した各前科は、本件犯罪に対し、それぞれ累犯の関係にあることは同判決の認定するとおりであって、ただ右前科相互間に刑法五六条所定の条件を欠くため、本件は三犯ではなく、従って刑法五九条を適用すべき場合でないのに、同判決が誤って同条を適用したにすぎない。しかし、同条によれば再犯たると三犯たるとにより処断刑に何ら差異を生じないばかりでなく、前示各前科は、その処断刑の範囲内において、いずれも累犯として量刑上当然考慮さるべきものであるから、原判決が第一審判決の前記違法は判決に影響を及ぼすことの明らかな場合にあたらないとしたのは、固より相当である。

論旨引用の広島高等裁判所の判例は、累犯に該当する前科が一回しかないのに、二回以上あるものとして、刑法五九条を適用した場合に関するものであって本件には適切でない。従って、論旨はその理由がない。

なお、記録を調べても刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。

よって同四〇八条、一八一条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 霜山精一 裁判官 栗山 茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 谷村唯一郎)

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