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最高裁判所第二小法廷 昭和25年(れ)1871号 判決 1952年12月26日

主文

原判決中被告会社及び被告人等に関する部分を破棄する。

被告株式会社播磨造船所及び被告人沖本迩を各罰金三千円に、被告人伊藤武雄を罰金千円に処する。

被告人沖本迩、同伊藤武雄が右罰金を完納することができないときは金百円を一日に換算した期間その被告人を労役場に留置する。

原審における訴訟費用は被告会社及び被告人等の負担とする。

昭和二〇年勅令第六五七号(会社の解散の制限等の件)違反の事実については被告会社及び被告人等を免訴する。

理由

被告会社及び被告人等の弁護人今西貞夫の上告趣意は、後記のとおりである。

同第一点乃至第三点について。

原判決引用の証拠を綜合すれば、原判示第一(一)の事実は十分認められるのであり、何等所論のような違法はなく、論旨は理由がない。

同第四点について。

所論私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下独占禁止法という。)第九一条の罪が公正取引委員会の告発を待って論ずべきものとされたのは独占禁止法第九六条に「第八九条及び第九〇条の罪」は前記告発を待って論ずるとあったのが本件犯行後昭和二四年六月一八日法律第二一四号により「第八九条から第九一条までの罪は」と改正せられた結果であって本件犯行当時の同法第九一条の罪は告発を待つを要しないものであった、しかも右法律第二一四号附則第八条には「この法律施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。」という規定の存するところからみて、本件犯行を処罰するには所論の告発を待つ必要はないと解すべきである。又本件独占禁止法第一〇条違反の罪に対する罰則は、右法律第二一四号により、独占禁止法第九一条第三号から第二号に変ったのであるから原判決が同法第九一条第三号を適用したのは正当である。更に昭和二一年勅令第五六七号「会社の証券保有制限等に関する件」と独占禁止法とはその制定の趣旨を異にするものがあり、右勅令第二条第一八条第一号と独占禁止法第一〇条第一項第九一条第三号とは犯罪の構成要件にも差異があるのであって、両者は一般法特別法の関係にあるとは認められないから、原判決が右勅令の外独占禁止法の条項をも適用したのは正当である。従って原判決には所論の違法はなく、論旨は理由がない。

しかし職権で調査すると、原判決の認定事実中、原判決第一の(二)の事実は昭和二〇年勅令第六五七号(会社の解散の制限等の件)違反の罪にあたるところ右は原判決後に、昭和二七年政令第一一七号大赦令第一条第二五号により大赦があったので、本件上告は結局理由があるから刑訴施行法第二条旧刑訴第四四七条により原判決中被告会社及び被告人等に関する部分を破棄し同第四四八条により更に判決するのであるが、右の事実については、犯罪後大赦があった場合にあたるから同第四五五条第三六三条第三号により、被告会社及び被告人等に対し免訴の言渡をするものとし、右の事実と併合罪をなすものとして原判決の確定した原判示第一の(一)の事実に法律を適用すると、被告人等の所為は昭和二七年法律第四三号(ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く大蔵省関係諸命令の措置に関する法律)第一三条、昭和二一年勅令第五六七号第二条第一八条第一号(昭和二三年政令第二四〇号による改正前のもの)、刑法第六〇条にあたると同時に、昭和二四年法律第二一四号附則第八条、同法による改正前の独占禁止法第一〇条第一項第九一条第三号、刑法第六〇条にあたるが右は一個の行為で二個の罪名にふれる場合であるから、刑法第五四条第一項前段第一〇条により重い前者の刑を以て処断すべく、その所定刑中罰金刑(罰金刑については刑法第六条第一〇条により罰金等臨時措置法による改正前の罰金額による)を選択し、所定罰金額の範囲内において被告人沖本迩を罰金三千円に、被告人伊藤武雄を罰金千円に処することとし、被告人両名において右罰金を完納することができないときは、刑法第一八条により金百円を一日に換算した期間その被告人を労役場に留置すべきものとし、被告会社に対しては前記各法条の外前記勅令第五六七号第二一条、独占禁止法第九五条を適用し被告会社を罰金三千円に処し、原審における訴訟費用は旧刑訴第二三七条第一項により被告会社及び被告人等の負担とする。

よって主文の通り判決する。

この判決は、裁判官全員一致の意見である。

(裁判長裁判官 霜山精一 裁判官 栗山 茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎)

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