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最高裁判所第二小法廷 昭和25年(あ)211号 決定 1951年6月08日

主文

本件上告を棄却する。

当審における未決勾留日数中六〇日を本刑に算入する。

理由

弁護人岩村辰次郎の上告趣意は末尾添附別紙記載のとおりである。

論旨第一点は、原審が公判期日外の証人尋問をするに当り勾留中の被告人に実質的に立会の機会を与えていないのは憲法三七条二項に違反するというのであるが、原審は、これらの証人尋問調書中の供述記載を事実認定或は量刑の資料としたものでなく、単に第一審判決を是認して控訴を棄却したに止まることは、原判文自体に徴して極めて明らかである。然らば原判決には判決に影響のある憲法違反があるとの主張は、その前提を欠くものといわなければならない。

論旨第二点は、刑訴四一一条の事由があるとの主張に過ぎないが記録を精査しても本件につき同条を適用すべきものとは認められない。

よって、刑訴四一四条、三八六条一項三号、刑法二一条により主文のとおり決定する。

この決定は、裁判官全員一致の意見である。

(裁判長裁判官 霜山精一 裁判官 栗山 茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 谷村唯一郎)

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