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最高裁判所第二小法廷 平成6年(行ツ)56号 判決 1994年6月24日

神戸市兵庫区荒田町二丁目一六番四号

上告人

三松久夫

東京都千代田区霞が関三丁目四番三号

被上告人

特許庁長官 麻生渡

静岡県浜松市高塚町三〇〇番地

右補助参加人

スズキ株式会社

右代表者代表取締役

鈴木修

右訴訟代理人弁理士

波多野久

関口俊三

右当事者間の東京高等裁判所平成四年(行ケ)第五九号審決取消請求事件について、同裁判所が平成五年一二月二二日言い渡した判決に対し、上告人から全部破棄を求める旨の上告の申立てがあった。よって、当裁判所は次のとおり判決する。

"

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告人の上告理由について

所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができる。原判決に所論の違法はない。論旨は、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するか、又は独自の見解に基づいて原判決を論難するものにすぎず、採用することができない。

よって、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 大西勝也 裁判官 中島敏次郎 裁判官 木崎良平 裁判官 根岸重治)

(平成六年(行ツ)第五六号 上告人 三松久夫)

上告人の上告理由

原判決には、判決に影響を及のぼすこと明らかなる法令の違背があるから、破棄を免がれないものである。

1.原判決にある原告の主張は、原判決に記載のとおりであるが、その反面、原判決による「当裁判所の判断」(第9頁第12行)の記載内容の中では、「その他審決にはこれを取り消すべき瑕疵は見当らない。」(原判決第16頁第12行~13行)と判示する

しかしながら、上記に関し、原判決で、あまり、取り沙汰されなかった問題として、次のような事柄が、原判決の中で、重要な問題点として指摘されるものである。

(1)『審決は、引用例(4欄23~26行)には、「二輪車の左右両側に配置されたバッテリーおよびバッテリーケースによって、二輪車のバランスと操縦性が向上する、旨記載されている。」(審決書6頁19行~7頁3行)と認定しているが、引用例の上記記載部分の正確な内容は、「さらに、自転車10の各側にケーシング72とバッテリ84が存在することが、自転車のバランスをとり、ハンドリングを容易にするのに寄与している。」(甲第3号証訳文6頁7~9行)であるから、もし審決認定中の上記「向上する」の意味が「駆動装置の取り付けられていない状態のときよりよくなる」という意味であるなら、審決の認定は誤りである。』(原判決第5頁第2行~13行)

(2)本件に関連する特許異議申立人(スズキ株式会社)は、審決に対し、当初、書証の一部分たけを部分的に訳文として提出した。その記載事実は、次のとおりである。

「本発明の他の目的は、自転車のバランスに悪影響を与えないように、バッテリーを搭載する装置を提供するものであり、特に、自転車の一側に一方のバッテリーが搭載され、その他側に他方のバッテリーを搭載し、その搭載高さは自転車のハンドリングや操作に悪影響を与えないように比較的低重心となるようにしている。」(特許異議申立書第8頁第12行~18行)、「第4図および第6図から、重心は後車軸24より幾分上にもかかわらず、かなり低いことがわかる。特に、自転車10の両側にケーシング72及びバッテリー84が存在することにより、自転車のバランスや無理のないハンドリングに寄与している。」『旨記載されている。』(甲第22号証特許異議申立書第9頁第1行~6行)

(3)一方、本願発明を無効にした、本件審決の出端ともする認定判断は、すでに明らかで、その記載事実は、次のとおりである。

「甲第2号証第1欄第29行ないし第36行には、バッテリーは二輪車のバランスが崩れないように装着され、二輪車の一方の側に一つのバッテリーが装着されるとともに他方の側には別の一つのバッテリーが装着され、各バッテリーの装着される位置の高さは、操縦性や操作性が損なわれないように、重心の位置が比較的低くなるような高さに設定される、旨記載されており、さらに、甲第2号証第4欄第23行ないし第26行には、二輪車の左右両側に配置されたバッテリーおよびバッテリーケースによって、二輪車のバランスと操縦性が向上する、旨記載されている。」(審決書第6頁第12行~第7頁第3行)

(4)原判決に記載の「甲第3号証訳文」(原判決第5頁第9行)とは、「本願出願前に外国において頒布された刊行物である米国特許第3,878,910号明細書(以下「引用例」という。)」(原判決第3頁第12行~14行)の訳文である。その訳文の「正確な内容」(原判決第5頁第6行)には、全文中を通じて何処にも、「向上する」(審決書第7頁第3行)という文字は、一切見受けられないものである。

2.原判決にある原告は、上告に際し、根本的に重大な二つの要因を、指摘しなければならないと考えるものである。

(A)本件審決は審決時において、こともあろうに本願発明を対象とし、特許異議申立人が証明のために特許庁長官へ提出した上記(2)の当該訳文(私文書)の記載文字について、審決はその一部を意味違いの文字に変造し、且つ、本願発明を無効にする目的をも果たすため、その当該訳文の記載文字を改竄した。その審決により記載事実として改竄された文字は「寄与している。」(本文第4頁第4行~5行)から、“向上する、”(本文第5頁第2行)、という上記に記載の文字である。

また、その不当に改竄された形跡は、上記(3)、の記載事実によっても、明らかに指摘されるものでもある。

よって、原告においては係る上記本件審決の行為は、私文書変造の行為、または偽証の罪に相当する、と考えられるものである。

(B)一方、原判決の補助参加人である「スズキ株式会社代表者代表取締役、鈴木修、代理人弁理士 波多野久、同 関口俊三」(原判決第1頁第11行~14行)等は、「本願について特許出願公告がなされた(特公平3-6027号)」(原判決第2頁第15行~16行)、その直後、本願発明の成否に利害関係があるため、「特許異議の申立て」(原判決第2頁第16行~17行)を「特許庁長官」(原判決第1頁第6行)へ提起しようとした。しかし、上記当該弁理士等は公告がなされた本願発明の「明細書」(甲第2号証に記載のとおりである)に対し、発明の同一性を正当に主張でき得るべき理由がそこには存在しなかったため当該弁理士等は、共謀し、一計を案じた、と推察される。

つまり、当該弁理士等は可成り長文の外来文献である「米国特許第3,878,910号明細書」(原判決第3頁第13行~14行)(甲第3号証に記載英文のとおりである)を利用、そこはプロ弁理士として利益のため、審決を欺くことを決意した。

そこでこの点、彼等は当該米国特許文献に対して100パーセントの翻訳をすることは本願発明の記載内容と比較し、発明の同一性が主張できなくなるため、約3パーセントの僅かな訳文を作成し、これを本件「特許異議申立書」(甲第21号証として後に加える)に証明としで記載する手立てが、本来の目的に合致し、結果としては本件審決の誤った錯覚を誘いだせるものと、当該弁理士等は本願発明と審決の関わりを、極めて注意深く睨んだのである。

また、そうこうしながら彼等は、本願発明を対象に特許庁長官へ平成3年4月25日付で特許異議申立書を送付した。

しかし、原告は、本件特許審決取消請求事件にあって、スズキ株式会社を含む当該弁理士等が、上記米国特許の残り約97パーセントの翻訳を特許庁長官に提出しなかったことについて、「民事訴訟法第248条」[訳文の添付]がなかったことは、本件審決のみならず、社会全体をも欺くことであり、況していわんや正当に公告がなされた本願発明に対しては不当なる異議申立書であったことも、上記事実として明確に指摘するものである。

3.原告の願いもあり、真実を求めて平成4年9月18日「裁判官 山下和明」(原判決第17頁第1行)の要請に応じられ、被告指定代理人(平成5年4月1日付で解任)五十畑 勉男(通商産業技官)は、正式に認めた(米国特許第3878910号明細書)の翻訳文を乙第1号証として提出された。

しかし、平成5年12月1日第8回目準備裁判終結に際し、同裁判官の仲介もあり、同乙第1号証は変更して原告の甲第3号証に付け加えられることになり、原告と被告側(特許庁)は双方につきこれを許諾した経緯がある。

つまり、甲第3号証の訳文には、本物の真実を示す米国特許第3878910号明細書の記載事実が認められている訳である。

これは、特許庁お墨付きともいうべき萬人が認め得られることのできる正当な米国特許第3,878,910号明細書の翻訳文であり、その記載内容の表示は「自転車用電気駆動装置」(甲第3号証訳文第1頁第1行)であり、その内容の中には、思想の背景と技術論等が詳しく述べられており、興味深く読むことができる。

しかし、それは、発明の内容において本願発明の目的とは異なる他の分野に属する発明であって、尚、且つ、本件引用例とも大きく相違するものである。この本件引用例が甲第3号証の訳文(甲第3号証訳文に記載のとおりである)と大きく相違するということは、前者は偽物であり、後者は本物であるということでもある。

また、本来、本件引用例は、『外国において頒布された刊行物である米国特許第3,878,910号明細書(以下「引用例」という。)に記載された発明』(原判決第3頁第13~15行)であり、甲第3号証訳文の記載内容と同一のものでなくてはならない筈であるが、上記の発明の内容において、大きく相違するということは、これまた、大きく矛盾するものであることはいうまでもない。

また、その上、本件審決の「引用例発明」(原判決第3頁第15行)は限りなく、本願発明に類似している。これは、上記(A)、(B)の事柄を反映したものであり、上記引用例発明が本願発明を対象にして極力、類似するよう捏造された事実を雄弁に物語るものでもある。

この違法である偽物の引用例発明は、例えば、正に幽霊の一人歩きのようで掴みところがない、発明であるといえる。

しかも、上記発明は、原判決の判決(原判決の判決は原判決に記載のとおりである)においても正当な本願発明に対して、優位に立つ発明の同一性を主張し、本願発明に致命的な敗北を与えた力を持つものである。

こうした幽霊発明(引用例)は、基を辿れば凡て、「約3パーセントの僅かな訳文」(本文第7頁第19行~20行)を土台とし、徐々に出現をしたものであることが分かる。

原判決の判決が認めたこのような上記幽霊発明(米国特許第3,878,910号明細書)は産業技術の発展向上に何等の寄与をも提供しないものであることを申し添えておく。

原判決の判決は、関る問題を看過して判断したものである。

4.以上のとおり、本件には特許法第172条の準用されんことを、お願いする。原判決には判決に影響を及ぼすこと明らかなる法令の違背があり、破棄さるべきである。

以上

(添付書類-甲第21号証及び第22号証-省略)

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