大判例

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最高裁判所第二小法廷 平成5年(行ツ)33号 判決 1993年4月23日

鹿児島県鹿児島郡桜島町松浦二番

上告人

李信子

右訴訟代理人弁護士

亀田徳一郎

被上告人

右代表者法務大臣

後藤田正晴

右指定代理人

加藤正一

右当事者間の福岡高等裁判所平成四年(行コ)第一一号不当利益返還請求事件について、同裁判所が平成四年一〇月二二日言い渡した判決に対し、上告人から全部破棄を求める旨の上告の申立てがあった。よって、当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人亀田徳一郎の上告理由及び上告人の上告理由について

所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。所論引用の判例は、右判断と抵触するものではない。論旨は、違憲をいう点を含め、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するか、又は独自の見解に立って原判決を論難するものにすぎず、採用することができない。

よって行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 大西勝也 裁判官 藤島昭 裁判官 中島敏次郎 裁判官 木崎良平)

(平成五年(行ツ)第三三号 上告人 李信子)

上告代理人亀田徳一郎の上告理由

第一 原判決は、判決結果に重大な影響及ぼす法令(条理)の違背がある。

一 原判決は争点に対する判断につき、第一審の理由を引用している。

「そして行政処分の瑕疵が明白であるか否かは、処分の成立した時点において、外形上客観的に何人の判断によっても、行政庁の認定に誤認のあることが一見して看取し得るかどうかによる決すべきものである(略)。しかるに、本件において原告は単に本件課税処分が株式取引による所得がないにもかかわらずなされたものであるから無効であると主張するだけで、福岡税務署長の本件課税処分の所得の認定に、外形上客観的に明らかな瑕疵があると判断し得るような具体的な事実は何ら主張していない。右にような原告の主張は、本件課税処分の取消原因としてならともかく無効原因の主張としては主張自体失当というべきである。」と判示する。

右の判示の中で特に「外形上客観的に明らかな瑕疵があると判断し得るような具体的な事実は何ら主張していない。」としている点は明らかに誤りである。

二 上告人の主張は、福岡税務署長が指定するような雑収入即ち株式売買による収入は無い、さらに言えば株式売買は存在しないという点にある。「株式売買の事実は無い」という主張は、論理的にもこれ以上具体的な事実の主張はないというべきである。

原判決の云わんとするところは、第一審判決と同様で、例えば「甲株式会社の株一万株を何時売却し、二千万円の利益をあげたと税務署は指摘し、これを前提にして課税しているが、実際に控訴人が何時売却した株は乙株式会社の株三千株であり、利益は五〇万円にすぎない、従って一九五〇万円に関しては不当な課税である」のように具体的な事実の主張をせよというもののようである。

そうであれば、上告人は十分具体的な事実の主張をしている。即ち、上告人は株式取引による利益を申告していないが、実際には昭和四六年、同四七年と株式取引による利益をあげており、その分過少申告になっているので、これに対して課税する」とするのが税務署の指摘であるが、これに対して上告人は「株式売買の事実は無い」と応えているのである。いいかえれば、上告人は「昭和四六年、同四七年税務署が指摘するような株式の取引は一切なく、従って株式売買による利益は一円たりともあげていないので、何ら過少申告乃至申告漏れはない」と返答しているのである。

三 「無い」という主張は、一見空疎で、具体性のないように受けとめられるがそうではない。「無い」という主張は相手方の具体的な明確な「問い」に対する「答え」としてなされるものであり、否定的に相手方の具体的で明確な内容を取り組んでの「答え」であり、その具体的明確さの程度は、相手方主張の持つ具体的明確性に依拠して確定されるという相対的な性格を持つものである。

上告人は、福岡税務署による課税に納税がいかなかったので、当時具体的に何株式会社の何株をいくらで取引し、いくらの利益をあげたのか明らかにするように福岡税務署長に問い合わせたが、ついに明らかにされなかった。

従って、百歩譲って、原判決が引用する一審判決指摘のとおり上告人の主張が具体的な事実を含んでいないというのであれば、それは上告人の責に帰すべき事柄ではなくて、具体的内容を明らかにしない税務署・国・被上告人の責に帰すべき問題である。

第二 原判決は、最高裁判所判例に違背している。

一 次に原判決は、一審判決を引用して、「課税処分のと過誤が必ずしも一見して明らかとはいえない場合でもあっても、当該処分における内容上の瑕疵が課税要件の根幹についてのもので……被課税者に右処分による不利益を甘受させることが著しく不当と認められるような例外的事情のある場合にまで、無効の主張を許さないものではない」とする最高裁判例(最判昭四八・四・二六民集二七巻三号六二九頁)を引用した後、「しかし、原告は本訴において株式売買による所得はなかった旨主張するのみで、本件課税処分が株式売買による所得を基礎としたことが著しく不当と認められるような事実は何ら主張していない」と結論し、上告人の主張を理由なしとしている。

しかし、有しもしない株式売買による所得を基礎としてなされた課税処分は、まさに「当該処分における内容上の瑕疵が課税処分要件の根幹についてのもので……被課税者に右処分による不利益を甘受させることが著しく不当と認められるような」場合であることは明らかであって、無効の主張は許されるべきであり、これを許さぬ原判決は右に引用する最高裁判例に違背している。

この場合も「無い」ことの主張が相手方の「問い」に対する「答え」としてなされるもので、相手方の「問い」の内容の具体性を否定的に自らの答えの内容の具体性にするものであって、「著しく不当と認められるような事実は主張」されているのであるから、あとは立証の問題を残すのみである。

二 立証の点でいえば、甲第四号証(証明書)が存在する。

上告人の亡夫李潤芝は、株の取引をしていたことがあり、取引先は大阪屋証券福岡支店であった。

そこで、上告人は本件課税のなされた後の昭和四九年九月二七日付で、昭和四六年度、同四七年度において、上告人名義での株の売買、それに基づく利益がない証明を同支店長にしてもらった。

上告人としては、同支店以外の株取引は思いつくところがないので、同支店長の証明を得たわけであるが、これも当時福岡税務署に提出したが、無視された。

三 もっとも、原判決は、甲第五・六号証をとりあげて、その内容が上告人の主張と矛盾すると指摘する。

しかし、甲第五・六号証の内容は「仮りに取引きがあったとしても」という仮定に立っての主張であり、根本は「存在しない」ことを前提としているのであって、決して上告人の主張と矛盾するものではない。

以上のとおり、原判決は違法であり、速やかに破棄されたい。

(平成五年(行ツ)第三三号 上告人 李信子)

上告人の上告理由

一 争のある事実及び理由

被上告人国(福岡税務署長、福岡国税局、熊本国税局)は法定相続人である上告人李博夫、松元博、松元信子こと李信子が法定相続人であり被上告人国が一人に課税するのは不正請求であり間違っています。昭和四六年度分所得金額一四八万三八二九円

内訳不動産所得金額 五六万九四〇〇円

雑所得金額 九一万四四二九円

納付すべき税額 一一万六五〇〇円

過少申告加算の額 五四〇〇円

昭和四七年度分

総所得金額 三六二六万七五三一円

内訳不動産所得金額 五三万八二〇〇円

雑所得金額 三五七二万九三三一円

納付すべき税額 一八一七万二〇〇〇円

過少申告加算の額 九〇万八四〇〇円

上告人は実際に昭和四六年度、昭和四七年度は被上告人国が右の様な利益を得た事は有りません。

上告人は昭和四六年度分、昭和四七年度分は実際に無いので被上告人国は間違であり、支払と言う裁判所の判決はおかしい。昭和四六年度、昭和四七年度は実際は〇でありますので、すぐに直さなければならない。三名の法定相続人を一人だと言うのはおかしい。

(新たな証拠を提出)

二 亡夫が昭和四一年九月二六日死亡した後は法定相続人で三名の財産になりました。

被上告人国(福岡税務署長、福岡国税局、熊本国税局)が勝手に税金を決め手汚いやり方で不正行為、不正請求であり、裏付の物証がまったくないのである。

実際に昭和四六年度、昭和四七年度は〇でありますのですぐに直さなければならない。それが法律であり正しいやり方であると上申致します。

三 福岡市中央区天神一丁目の家の差押通知書も受け取っていないのです。当時は台湾の長男李博夫の所で旅行中でしたので受取っていないのですから差押の効力は無いのです。人権を無視して何の差押、何の税金。

被上告人(福岡税務署長、福岡国税局、熊本国税局)。国は三名の法定相続人を無視して勝手に税金を決め手競売の前に予定業者、住友建設、ソロン会社に金額五二一一万八六五円で落す事を決定していたのは談合の疑いがあったのは明色な事実であった。

昭和四六年度、昭和四七年度の税金の金額ではありません。住友建設、ソロン会社が落す事を決定していた金額でありました。その金額を支払なければ住友建設、ソロン会社に財産が落されるのでこの金額を支払う様に熊本国税局が命令されたのであり、この金額は不正請求であった事を上申致します。

右の様な事実、住友建設、ソロン会社が上告人の上を落そうと考えて上告人の家の再三尋ねて来て、又弁護士亀田徳一郎殿の事務所に行った事実が有りますのは明白です。

四 熊本国税局内で競売にかけ家を奪おうとしたので福岡市中央区警固一丁目四の五法定相続人の三名の自宅の家を昭和六〇年頃売った金額を福岡中央区天神一丁目の家を守る為に一時支払ったまでで税金を認めたとか納得して支払った物ではありません。その金額は長男李博夫、次男松元博、松元信子こと李信子の決定相続人の福岡中央区警固一丁目四の五の自宅を売った三名の金額であります。

一人に勝手に税金を不正に決めて家をタダで奪うやり方は最初から間違った判例違反ですので、その支払った金額五二一一九八五六円と貼用印紙額は上告審で必ず返して下さる様要求致します。

五 この事は一審、二審で訴えようと思って自宅で待っていましたのに一審、二審は松元信子こと李信子の承認尋問を許さないと言っている。なぜ、どうして日本国憲法第十四条第一項すべての国民は法の下に平等であって人種、宗条、性別、社会的身分又は門地により、政治的経済的又は社会的関係において差別されないに違反した。

上告人松元信子こと李信子は専業主婦ですので不動産所得の金額、昭和四六年、昭和四七年は一年間で三名で一人分が二五万九千九百八拾二円です。のに被上告人国(福岡税務署長、福岡国税局、熊本国税局)は加えて水増しして税金を不正請求しているのは明白である上告審で被上告人国は裏付の証拠を提出する様請求致します。昭和四六年、昭和四七年には税金は無いので直になほさなければならないと上申致します。

上告人は知る権利がありますので、明確に裏付の証拠を示して説明して下さる様上申致します。

この様にして加えて水増して税金を支払え又もうけてもいないのに寛大な税金を支払と不正請求して福岡市中央区天神一丁目の財産をむりやり奪いとろうとして昭和四六年、昭和四七年、金額五二一一万九八六五円を裏付の物証も無いのにむりやり、うばい取るのは強奪で大きな間違いであり大きな問題です。

六 福岡地方裁判所、福岡高等裁判所は裏付の証拠に基いて裁判すべきであり、原告の言い分も聞かず本人証人尋問を申請しても裁判所が採用しないのは過を犯している。法律違反、人件を無視している。

国(福岡税務署長、福岡国税局、熊本国税局)が言っている事はウソつきでムチャクチャで不正なやり方であり該当しないと主張致します。上告人の税金は始めから無いのです。上告人の裏付の証拠を取上げないで妨害した不当な行為は職権乱用、えっけん行為、一審、二審のずさんな判決であり重大な問題をほほかぶりして、しらんぶりしているのであります。むりやり奪い取るのは奪強でありこれは明白である。財産権の侵害、人件の侵害で汚い不正行為はウソツキで多額の金額を加えて水増して不正請求をし又原告の生活権まで犯している。

昭和四九年十一月十五日から一ケ月二万一千六百六拾七円を昭和五六年四月十七日まで原告に通知もしないで奪強し今まで隠していた汚いやり方は権力の乱用であり、上告人が生活する金額を今田にだまって隠して奪強している事は許す事の出来ない犯罪である(新たな証拠提出)。上告人の証拠の問題は李博夫は外国にいるのだからすべての財産の事、金額の事は李博夫が認めるか、認めないかの問題であって本人が母信子に委任すると言っているのだから(福岡税務署長、福岡国税局、熊本国税局)一審、二審の裁判所は李博夫の委任状と大阪屋証券の会社の証拠は認めて取上げるのは正当な主張であり取上げないで妨害するのは正しい裁判ではないので上審審で原告の証拠を取上げて下さい。これは正しい要求でありますのでよろしくお願致します。

上告審で新たな証拠と裏付の証拠をよく調べて下さる様上申致します。

人件を無視(法定相続人)何の税金か実際には昭和四六年、昭和四七年には税金は無いので直になほして下さる様上申致します。むりやりうばい取るのは強奪である許す事の出来ない犯罪行為であると上申致します。

以上

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