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最高裁判所第三小法廷 昭和59年(行ツ)10号 判決 1984年10月23日

埼玉県八潮市大字鶴ケ曾根一二九七番地

八潮中学校内

上告人

伊藤隆男

埼玉県越谷市赤山町五丁目七番四七号

越谷税務署長

被上告人

荒井一夫

亀谷和男

右当事者間の東京高等裁判所昭和五八年(行コ)第六七号裁決取消請求事件について、同裁判所が昭和五八年一一月八日言い渡した判決に対し、上告人から全部破棄を求める旨の上告の申立があった。よって、当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告人の上告状及び上告状補正書記載の各上告理由について

本件訴えを不適法とした原審の判断は正当であって、原判決に所論の違法はない。論旨は、独自の見解に立って原判決を論難するものにすぎず、採用することができない。

よって、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおりである。

(裁判長裁判官 長島敦 裁判官 伊藤正己 裁判官 木戸口久治 裁判官 安岡満彦)

(昭和五九年(行ツ)第一〇号 上告人 伊藤隆男)

上告人の上告状記載の上告理由

上告人は、「控訴状」に於いて、控訴理由として次の三点を指摘した。すなわち、(1)国税通則法第百十五条一項三号中の語句、「正当な理由」の解釈について、原判決に見られる内包と外延の不一致、(2)被上告人が、日本国憲法第九条と自衛隊との関係に関して、先験的に審理対象から除外しようとしていることに対する原判決の認識不足、(3)提訴後の審査請求に関する期日上の救済を欠く現行法の裁判権抑圧である。

これらの理由は、いずれも、それぞれ独立した内容から成っており、いずれかひとつが論理的に真でなかったり、或は反証されたとしても、他の項目の持つ論理的、経験的価値とは一切無関係である。にもかかわらず第二審判決は、(3)のみについて審理を行なったのであるから、不充分な審理に基づく不当な判決である。

次に(3)に関する判示によると、上告人は、法定期間内に審査請求を行なっておれば、その裁決の後とで提訴する途が開かれていたから、裁判を受ける権利は奪われた訳ではない、とのことであるが、このような原則的な意味に於ける裁判権の保証について、上告人はこれを否定した覚えは皆無である。(3)の意味するところは、提訴後の審査請求を期日の上で制限することは訴えそのものを無効にすることがあるということであって、この点、単純な期限後の審査請求とは異なるのである。そしてこうした場合の期日上の救済手段の欠如は、裁判権の縮小に繁がることは明らかである。

上告人の「上告状補正書」と題する書面記載の上告理由

「上告状」について、次の二点の旨の補正を行なう。

(1) 上告理由記載の書面につき、民事訴訟規則第五二条の規定に照らし不足する部数の謄本をここに提出する。

(2) 上告理由各項目が根拠とする法規の条項及び事実関係について、次の通りこれを明示する。

第二審判決が控訴理由の一部についてしか審理を行なわなかったことについては、判決書中、「控訴人の当審における主張」に於いて一点の控訴理由のみが言及されていること、また、判決理由に於いても、その他の控訴理由に関する判示が見当らないことから窺える。従って同判決は、他の控訴理由を全て捨象し、専らその特定部分を上告人の主張と同定したものと見做すことが出来るが、このことは、口頭弁論の趣旨を網羅的に検討したうえで判決をなすべき旨を定めた民(事)訴(訟)法第一八五条に違反する。また、もし控訴理由の全部を審理したにもかかわらず、敢て判決理由に於いてそれに関する判示をしなかったのだとすれば、その際は、そうしない旨の理由を示すべきであるが、それが無いことは民訴法第三九五条第一項第六号の規定に叶っていないことになる。

第一審判決が、甲―十一号証に於いて国税不服審判所長が日本国憲法第九条と自衛隊との関係を、先験的に、審査しようとしない事実を見落して本件が(国)税通(則)法第百十五条第一項第三号に該当しないと判示したことは、民訴法第一八五条に違反する。

第一審判決の判決理由に於いて、税通法第百十五条第一項第三号中の「正当な理由」についての解釈で、その内包と外延が一致していないことは(「控訴状」P2参照)、判決理由に「齟齬」があることになるから、民訴法第三九条第一項第六号に違反する。

以上

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