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最高裁判所第三小法廷 昭和52年(オ)185号 判決 1977年6月14日

上告人 竹田みち代(仮名)

被上告人 竹田清司(仮名) 外二名

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人竹下甫、同小山稔の上告理由及び同村松俊夫の上告理由について原審が適法に確定した事実関係によれば、訴外竹田志郎が本件公正証書による遺言をするについて、立会証人である訴外長谷川一郎は、すでに遺言内容の筆記が終つた段階から立会つたものであり、その後公証人が右筆記内容を読み聞かせたのに対し、右遺言者はただうなづくのみであつて、口授があつたとはいえず、右立会証人は右遺言者の真意を十分に確認することができなかつたというのであるから、本件公正証書による遺言を民法九六九条所定の方式に反し無効であるとした原審の判断は、正当として是認することができる。所論引用の判例は、いずれも事案を異にし、本件に適切でない。原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 高辻正己 裁判官 天野武一 江里口清雄 服部高顯 環昌一)

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