大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第三小法廷 昭和44年(オ)967号 判決 1970年2月17日

上告人

宮田正利

代理人

中島多門

被上告人

合資会社 岩田商店

代理人

東浦菊夫

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人中島多門の上告理由第一点について。

喪失した白地手形について除権判決がなされた場合でも、右判決につて当該白地手形自体が復活するわけではないから、除権判決を得た者が手形債務者から手形の再発行を得て白地を補充したうえ請求するのであれば格別、除権判決を得たのみでは白地を補充して手形上の権利を行使するに由ないものであり、たんに手形外で白地を補充する旨の意思表示をしたからといつて、これにより白地補充の効力を生じたものとすることができないことは当裁判所の判例(最高裁判所昭和四二年(オ)第一四〇三号、同四三年四月一二日第二小法廷判決、民集二二巻四号九一一頁)とするところである。してみれば、除権判決を得たことのみを主張して手形金の支払を求める本訴請求を棄却した原判決は正当であつて、論旨は採用に値いしない。

同第二点について。

本訴が所論のような利得償還請求訴訟でないことは、記録に徴して明らかである。所論は、前提を欠くものであつて、採用するに足りない。

同第三点にいつて。

原判決は、かりに上告人が得た除権判決に表示されたとおりの為替手形が存在したとしても、右為替手形は受取人白地の未完成手形にすぎないから、上告人は本件手形金の請求をなしうるものではないのみならず、上告人は白地手形上の権利を取得していたものでないとして、上告人の請求を排斥しているのであるから、原判決には所論理由齟齬の違法はない。論旨は、採用することができない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。(関根小郷 田中二郎 下村三郎 松本正雄 飯村義美)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例