大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和43年(行ツ)103号 判決 1972年2月29日

大阪市生野区東桃谷町二丁目五番地

上告人

中島忠久

被上告人

右代表者法務大臣

前尾繁三郎

右当事者間の大阪高等裁判所昭和四一年(行コ)第一〇三号贈与税債務下存在確認請求事件について、同裁判所が昭和四三年七月四日言い渡した判決に対し、上告人から全部破棄を求める旨の上告の申立があつた。よつて当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告人の上告理由について。

所論のうち違憲をいう部分は、その実質は、たんなる法令違背の主張にすぎず、所論の点に関する原判決(その引用する第一審判決を含む。以下同じ。)の認定判断は、挙示の証拠に照らし相当として首肯することができ、その過程にも所論の違法は認められない。論旨は、ひつきよう、原判決の適法にした事実の認定を非難するか、あるいは、原判決を正解せず、または独自の見解に基づいて原判決を非難するものであつて、いずれも採用することができない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 田中二郎 裁判官 下村三郎 裁判官 関根小郷 裁判官 天野武一 裁判官 坂本吉勝)

事実

(昭和四三年行ツ第一〇三号 上告人 中島忠久)

上告人の上告理由

一、全趣旨を通じて民訴法上の常識上の理念の欠如。

租税の申告等が優越的、加圧的に行なわれている如く(公知の事実、15年前は)、この民事訴訟では当事者、法定代理人、職業的法曹人(検事)の外、廿数名の非法曹人が被告代理人として、弁論期日の約九割二分出頭し、溢れる敵がい心を以てして、不必要な無益な負荷を原告に与えた。この為第二審では控訴状陳述擬制以外は、無弁論で終らざるを得なかつた。

之は民訴の当事者平等の原則に反する。第一審では被告未成年、法定代理人が代理したが、第二審では成年に達したという自然現象のみで代理、権を失い在東京の控訴人は不出頭に終らぜるを得ず、被控訴人は非法曹人次々と人変り代理し、不必要な無用な攻撃で相手を困らせた。陸士、陸大で学ぶ戦時国際法に敵を殺傷加害するのに無益な苦痛を与えてはならないハーグの条約がある。非法曹人が法廷に代理人として立ち得る特別の場合には余程この点を留意してほしい。口頭弁論するに由なき事があつた。

二、第二審を破毀差戻しして下さい。

何故なら第二審の審理を尽すに由なき事情であつたからである。上告人本人は昭和四四年四月以後常に出頭できる。

三、共同親権行使について第一審は違法の事実認定、第二審は、控訴状3枚目裏6項5-13行にわたり主張した点を全く逸脱、無審理である。

本件申告昭和三〇、六、一四、(第一審判決文7枚目裏の表目)時点から以前に未成年者中島忠久(昭和二一、二、二一生)名義の如何なる税金とか訴訟とかの事項は不存在であるのに、(学校やPTA関係を除いて外部的事項は全然ある筈はないのに)従つて、共同親権者である忠見に任せる事も、表見代理も全くないのに、「任せていた」という事実認定は無理由である。本件訴訟は正しく二人の法定代理人共同で行使し、共同して、「単独申告し、昭和三〇年六月一四日以前一切の忠久に関する限り税事不存在、包括的同意も不与、書面でも口頭でも房子は同意の意思も意思表示も不存在、申告書は無効」と法延で主張している(第一審判決4枚目裏5行目以下、「仮に無効でないとしても昭和三六年一月一三日右申告を取消した」記録68枚表6~9行目の原告準備書面。)それ故第一審判決17枚目表5行目の「具体的な主張立証がない、よつて原告の右主張も採用できない」は誤判、準備書面による取消の意思表示を裁判所は見逃した。

四、房子の「反対はしていません」の供述は「同意」と異る。判示は憲法違反(14 24条)民法違反(90 818 825条)記録178頁裏5行目「すべて私は反対はしていません」の14字は、いかなる事項も全部同意、民法第818条3項の放棄を意味しない。之は公序良俗に反する。それを「すべて同意していたことが認められる(判決文16枚裏8行目)」と事実認定するのは、裁判所が進んで公序良俗に反するような、家庭の父母同権をことさらに、じゆうりんするような判断で、会社理念に反する。記録62枚目(乙第一号証ノ一)右端氏名及生年月日、親権者中島忠見長男中島忠久昭和21年2月21日生<印>のような財産上重要な負荷を来す申告には、当然、今一人の親権者の同席、同意、立合、共同行使を立証する何等かの有効な方法を講ずべく、乙第一号証ノ一のままでは無効又は後日共同意思表示で取消されてもやむを得ないと判断するのが遵法である。一審の「弁論の全趣旨によると」、又社会一般の生活上「夫唱婦随」は公道であり、これ即、善良の風俗に外ならない。もし父母の一方が共同の名義で子を代理した法律行為をし、公的申告した時はその行為が、他の一方の意思に反したときまでも、これがために、その効力を妨げられない(民法825条)。民法818条、825条は強行規定であつて、事前に、一方が概括的に、一般的に、その権利を放棄することはできない。国家はできるだけ、右強行規定を遵守し、擁護する義務がある(憲法14条1項、99条)。

五、民法825条の解釈として子の為に父母が親権を行使して有効な法律行為をする為には必ず共同名義でなければならない。共同名義でない限り無効であり、仮に無効でないとしても取消し得る。その主張は原告昭和36、1、13、準備書面、記録68枚表6~9行目で表示している。この点に関する裁判所の判断は重要事項を見逃がし、且公序良俗に反する違法がある。憲法違反がある。激しく対立する当事者以外の第三者としては、憲法24条、憲法14条の男女平等の原理民法818条825条の親権共同行使の原則として民法の一般条項から、むしろ進んで、原告の主張、援用をまつまでもなく、憲法擁護、良俗維持の為に、乙第一号証ノ一(記録62枚目)の申告の無効を判示して、世間に、社会に、警告を与えるべきである。そうでないと憲法尊重擁護の義務違反となる。之は上告人が対世的に主張する所である。

乙第一号証ノ一の申告が無効又は取消となると、当然債務不存在となる。

六、申告行為の非自由性、憲法違反、信義則違反

十五年前の税務署はキツかつた(公知の事実)。原告は、旧友の佐々木康雄弁護士に一切を依頼した。二年後に税務署から呼出しがあつた。「登記簿による子供名義に所有権移転登記(昭和廿七年)がある。贈与税申告せねばならぬ。――いや買つたのは昭和廿二年であるから、子供に贈与したのは今から八年前だから支払義務はない。――併し登記簿に載つているから仕方ない。」税務署員の主張は登記に公信力ある独法の下で云いうる事であろう、立証によつて売買の日時を別に立証し得る。という文言の説明に欠け、又、知つて呼出人に告知しないで、ただ、申告捺印捺印とせき立てる。之は日本の登記に関する重要な事項の告知違反であつて公正取引の理念に反する、信義則に反する。

(商法678条645条、民法709条)。事実は立証困難な為納税者は泣寝入りしている多数例がある。国家行為でこれほど背信的な行為はない。

七、二七年分について事実認定の無理由、理由そご

第一審判決文12枚目5行目以下、12行の判定では

公信力のない、争のない、乙二号証登記日付昭和二七年八月一日を取上げて甲三号証の売買日付及売主森義郎買主忠見本人供述を何故一蹴するかの理由を欠く、無理由判断である。

第二審判決文4枚目裏9行目には、公信力のない登記簿日付を一蹴して「昭和二二年八月一日であつたとして」売買日時を認めていながら贈与日時認定確証なくと判断し、更にそれでは贈与時日はいつにするかと見ると5枚目表2行目に「登記簿上控訴人が所有権を取得したものとされる日時が贈与の日時として記載されていることは」の事実援用は、登記簿重視し、贈与の日時として登記記載ある如き、文意であるが、登記簿には贈与の文言なく、所有権取得原因は売買である。(そごの一)同所に不動産の法律上形式上の帰属者と経済的実質的帰属者の文字があるが、昭和二二年当時忠久は一才二七年当時六才であつて、一才と六才とでは五十歩百歩、大差なく経済的帰属者はたとい贈与後も贈与者である父母であることは常識上明かであるのに第二審は、実質的、不動産利用者、受益者、経済的帰属者が幼児である六才の忠久のその時(昭和二七年)に贈与したと判断するのは、理由のそごその二である。

第二審も何故に公信力のない登記簿を取上げて、甲第三号証、森義郎、忠見の証言を措信しないかの説明がない。無理由である。

昭和二二年頃の混沌たる社会現象として家主が借家人に借家を売渡す事例極めて多く、昭和二七年頃には世間はやや落付いて家主は手放すのを欲しない者が多くなつている、社会実情という原告の主張を公然取上げていない。この社会の実情上の原告の主張につき審理不尽である。登記は第三者に対抗する為のみ存する。

八、二八年分判断の理由そご

第二審判決5枚目裏6行目「増築支出費用申告」即、贈与額となるが、この場合は、日本銀行券の一定額の贈与でなくて、裁量によつて算出した基準がある。

申告時、税務署提示の増築坪数は建築前の消防署宛の届書であり、次に生野区役所固定資産税課員の建築後の実施測坪数と、同時に発見した戦前の六尺五寸一間の坪数と戦後の六尺一間の坪数計算による自然増加(増築によらない増加)坪数がある。税務署は初め、建築前の消防署坪数のみによる申告を強く、申告捺印強制した。

(坪数について)未登記増築家屋については母屋の所有名義人として一先ず申告せざるを得ないが、後日、保存登記を完了し、且その所有権の帰属を明かにした時は、(その新登記の公信力の反証なき限り)、その帰属者が所有権者であることは明かである。登記は第三者に対抗する為、未登記分について帰属不明で困る時に、便、不便の為にするのであつて、その登記が申告後であろうと申告前であろうと差支えない。真実帰属者が何人であるかが明かであれば足る、第一審判決13枚目表11行目以下は、原告の錯誤より原告の事後訂正を見逃がしているそごがある。

未登記で誰に贈与するか不明な間に一先づ誰かに申告し、後日登記によつて帰属を明かして訂正するのは常識上差支えない。ただ未登記建物は母屋持主のものと一応推定されるに過ぎない。故に新登記の一〇・七四坪(五人共有)部分は削除すべきである。次にそれで増築分二三・二一坪(その中五人共有一〇・七四坪)の(申告金額)第一審13枚目裏三九六、四七〇円の申告、金額は現実の日本銀行券額でなくて坪数に単価を乗じた積である。裁判所は自ら「固定資産評価額は時価より甚しく低いから、よしや、坪数が減つても、実質の贈与金額は甚しく差異ないだろう」、との判示は不主張事実の認定である。坪数の減少の発見は重大な控訴人の利益に関する。

第二審判決文6枚目表の1乃至9行目を見ると、単価九、六六六円に三八坪三七を乗じても申告額に合致せず、算出根拠不明というが、大体一致して、算出されたものである。既に増築分は二三・二一坪であることは争なく(その中一〇坪七四が申告後登記され、申告分より削除申出に対し被告争ひ、裁判所亦原告主張について未審理である)その坪数に照応する金額の算出に第二審は耳を傾けないのは審理不尽である。のみならず、かえつて、その7行目に「且つその一部が二九年に完成したことを考慮に入れると」の二五字で、第二審は、原告主張の如く、増築が二八年、二九年の二年にわたり区切つて行なわれたことの事実確定があるので、上告人は、この二五字を援用して

二八年分の贈与は二八、二九、二年度に二分すると認められる(原告はかねてかく主張)ので、各々基礎控除分を差引くと課税額は殆んど零となる。

そうすると二八年分の贈与の二八、二九、二分離、五人共有部分の削除を考えると、計算するまでもなく、全く課税額は0で支払義務なし。

上告の趣旨

第一、二審を取消す、上告人の被上告人に対する昭和二七年及昭和二八年分贈与税計一一八、一二〇円の支払義務ないことを確認する。

訴訟費用は第一、二、三審共被上告人の負担とすとの裁判を求める。

以上

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