大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第三小法廷 昭和42年(オ)1356号 判決 1968年4月16日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人四塚利一の上告理由第一点について。

被上告人が昭和三八年一月に初めて所論転貸の事実を知つた旨の原判決の事実上の判断は、挙示の証拠関係に照らして是認できなくはない。この点についての論旨は、原審の裁量に属する証拠の取捨判断、事実認定を非難するに帰し、採用することができない。なお上告人の転貸権の時効取得、解除権の消滅時効の各抗弁をいずれも排斥した原審の判断も正当であつて、論旨は排斥を免れない。

同第二点について。

本件事実関係に照らせば、被上告人の本件解除権の行使は権利の濫用にはあたらない旨の原判決の判断は正当というべく、論旨は採用することができない。

同第三点について。

本件賃貸借は、建物と土地についてそれぞれ別個独立の賃貸借を締結したものではなく、賃料も一括して定められた総合的な一個の賃貸借契約にもとづくものであるから、原判示違反行為を理由とする契約解除により、土地についてとともに建物についても賃貸借関係が終了した旨の原判決の判断は相当であつて、これに所論の違法はない。論旨は採用することができない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 田中二郎 裁判官 下村三郎 裁判官 松本正雄 裁判官 飯村義美)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例