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最高裁判所第三小法廷 昭和39年(オ)1379号 判決 1966年9月13日

上告人

品川虎雄

右訴訟代理人

大槻弘道

被上告人

福知山不動産株式会社

右代表者

吉田初太郎

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人大槻弘道の上告理由について。

論旨は、要するに、原判決が所論裏書を無効としたのは手形法一三条の解釈を誤ったものであるというにある。

案ずるに、手形を裏書によって譲り渡す場合には、裏書人が当該手形に署名することを要することは同条の規定により明らかであるが、その裏書人が会社その他の法人である場合には、当該法人の代表機関が法人のためにすることを明らかにして自己の署名をすることを要するものと解するのが相当である。けだし、法人はその機関たる地位にある自然人と別個の人格を有するが、代理の場合と異なり、機関の法律行為を離れて別に法人の法律行為があるわけでなく、法人が裏書人である場合における法人の署名とはその機関の地位にある自然人の署名をいうものと解されるからである。そして、原審の確定したところによれば、本件約束手形の第一裏書欄には、裏書人の表示として、福知山市京町二二番地福知山不動産株式会社と記載され、右会社印および代表者印が押捺されているだけで、その代表者の自署または記名捺印がないというのであるから、右裏書欄に被上告会社の署名があるということができず、右裏書は被上告会社の裏書としての効力を生じない旨の原審の判断は正当である。したがって、原判決に所論の違法はなく、所論は、ひっきょう、右と異なった見解に立って原判決を攻撃するに帰するから、採用できない。

よって、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。(田中二郎 五鬼上堅盤 横田正俊 柏原語六 下村三郎)

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