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最高裁判所第三小法廷 昭和35年(オ)513号 判決 1962年10月30日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人らの負担とする。

理由

上告代理人森静雄の上告理由第一点について。

土地境界確定の訴においては、判決主文において、特定の隣接地番の土地相互の境界を表示すれば足るのであつて、所有権確認の請求が含まれない限り、右土地の所有権が誰であるかを主文に表示することを要するものではない。従つて、単なる土地境界確定の訴であり、所有権確認の請求が含まれない本件において、原判決がその理由において上告人早田義男を熊本県球磨郡五木村字田口三、三〇七番山林の共有者であると確定しながら、その主文において同字三、三〇八番山林と右山林との境界を表示するにつき、上告人早田義男を右山林の共有者である旨を表示しなかつたからといつて、所論の理由不備または理由そごの違法があるということはできない。右主文において上告人早田義男以外の上告人らを右山林の共有者である旨表示したことは、無用の表示というべきこと叙上のとおりであつて、右表示のあることは前記の結論を左右するものではない。論旨は採用できない。

同第二点について。

原判決は、被控訴人早田義男を加えた被控訴人ら一一名(上告人ら)が前記三、三〇七番山林の共有者であると確定しているのであるから、上告人ら一一名に対する本件境界確定の訴を適法とした原判決に所論の違法があるとすることはできない。

同第三点について。

前記三、三〇八番山林と前記三、三〇七番山林との境界が判示のとおりであるとする原判決の認定は、その所掲の証拠およびそれによつて認定した事実関係に照し肯認できなくはない。所論は原審の適法になした証拠の取捨、事実の認定を非難するに帰するから採用できない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 横田正俊 裁判官 河村又介 裁判官 垂水克己 裁判官 石坂修一 裁判官 五鬼上堅磐)

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