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最高裁判所第三小法廷 昭和32年(オ)201号 判決 1958年6月17日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人らの負担とする。

理由

上告人等代理人佐藤雄太郎の上告理由について。

上告理由第一点は、刑事判決に於て追徴のない限り関税法(昭和二九年四月法律六一号による全文改正前)八三条四項による徴収通告をなすべきでない旨を主張するのである。しかし、八三条三項の追徴は没収にかわるものであつて、没収すべきものの原価であり、同条四項によつて徴収するのは、そのものの関税であつて両者は別個のものである。本件の場合、刑事判決で追徴を附加しなかつたからといつて、そのためにすでに輸入された貨物に対する国の関税徴収権がなくなるものとは解せられない。論旨は理由がない。

上告理由第二点は、本件処分の無効を主張するのであるが、前述のように違法がない以上無効でないのはいうまでもない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 河村又介 裁判官 島 保 裁判官 垂水克己)

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