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最高裁判所第三小法廷 昭和31年(あ)1748号 判決 1959年6月30日

主文

本件各上告を棄却する。

当審における訴訟費用は被告人山本春彦の負担とする。

理由

被告人山本春彦の弁護人上山武の上告趣意第一点について。

所論は、原判決に憲法の解釈に関する誤があるというけれども、憲法のいかなる規定の解釈に誤があるかを具体的に主張する趣旨が窺われないので違憲主張の上告理由には当らない。所論一、および三にいう米国軍票が日本国内に駐留する米軍施設における交換の媒介物として発行されている弗表示軍票として刑法一四九条一項の「内国ニ流通スル外国ノ紙幣」に該当することは、当裁判所のしばしば判示したとおりである(昭和二六年(あ)二七三七号同二八年五月二五日第二小法廷決定、集七巻五号一一二八頁、昭和二八年(あ)四五八三号同二九年一一月一一日第一小法廷決定、集八巻一一号一八二二頁、昭和二九年(あ)二五四九号同三〇年四月一九日第三小法廷判決、集九巻五号八九八頁各参照)。論旨二は、本件において行使の目的がないというのであるが、行使の目的は自己が行使する場合に限らず他人をして真正の通貨として流通に置かせる目的でもよいのであって、判示事実によればかかる目的が認められるので原判決の判断は正当である。論旨引用の判例は、いずれも本件には適切でない。されば、原判決に所論判例違反等刑訴四〇五条の上告理由に当る事由はなく、また所論の違法もない。

同第二点について。

所論は、事実誤認、法令違反の主張であって、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。

被告人山本春彦の弁護人工藤祐正の上告趣意第一点および第二点の理由ないことは、弁護人上山武の上告趣意について説明したところによって明らかである。

被告人野田秋文の弁護人鈴木惣三郎の上告趣意について。

所論は、違憲をいうけれども、その実質は量刑不当の主張を出ないので、適法な上告理由に当らない。

また記録を調べても刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。

よって同四〇八条、一八一条(被告人山本春彦のみ)により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 島 保 裁判官 河村又介 裁判官 垂水克己 裁判官 高橋潔 裁判官 石坂修一)

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