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最高裁判所第三小法廷 昭和30年(オ)535号 判決 1961年4月25日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人清瀬一郎、同内山弘の上告理由について。

商標法(昭和三四年四月一三日改正前のもの)二四条が特許法七三条ないし七七条を準用し商標登録の出願があつたときは商標公報に出願公告をなすべく、公告があつたときは一般公衆中の何人も登録異議の申立をなしうべきものとしているのは、審査官をして異議について審査考量の上登録出願について過誤なき査定をなさしめんがためであり、元来審査官は異議の有無に拘わりなく異議の起りうべきあらゆる点について探知検討して適正な査定をなすべき職務権限を有するのであつて、出願公告において出願にかかる指定商品の記載を遺脱した場合でも、遺脱された商品に関しその商標登録査定もしくは商標登録は当然無効のものといえないと解するのを相当とする。

原判示登録第三七九九四五商標につき、その登録出願が本件商標登録出願前になされ昭和二四年にその登録がなされた事実その登録商標公告決定および商標原簿にはいずれも右商標の指定商品として第八類鎌、剃刀、鉋、庖丁、剪刀、鋸、小刀、鑿と記載されているのに右出願公告の公報には右指定商品として「第八類小刀、鑿、剪刀、鋸」とのみ記載されている事実はいずれも原審の確定したところである。原判決がこれらの事実に徴し右商標の登録出願は右登録出願公告決定並びに商標原簿に記載された商品を指定商品としてなされ、これに対し登録を許されたものであり、前記公報の右商標の指定商品の表示は誤記であると判示した上、出願公告および異議申立に関する立法の趣旨ならびに異議の効力について説示し判示の理由により上告人本件商標登録出願を排斥した原判決を維持し上告人の本訴請求を棄却すべきものとしたのは前記説示の理由により相当ということができる。論旨は理由がない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 垂水克己 裁判官 島 保 裁判官 河村又介 裁判官 石坂修一)

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