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最高裁判所第三小法廷 昭和30年(あ)271号 決定 1958年3月04日

主文

本件上告を棄却する。

当審における訴訟費用は被告人の負担とする。

理由

弁護人倉田雅充の上告趣意第一点及び第二点前段は、原判決の事実誤認を前提とする単なる法令違反の主張であって、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。(原判決の援用する第一審判決挙示の証拠を総合すれば、被告人らが小型発動機船海生丸により貨物密輸出の予備をなした判示事実を認めるに十分であって、原判決には所論の違法はない)。

論旨第二点後段は、本件海生丸を刑法一九条を適用して没収したことは改正前の関税法八三条等の解釈を誤った違法があると主張するものであって、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。〔船舶により貨物密輸出の予備をなした場合には、改正前の関税法八三条により右船舶を没収すべきものであることは、すでに当裁判所の判示したところである(昭和二七年(あ)第三六八三号同三二年二月二一日第一小法廷判決、集一一巻二号八四九頁参照)。されば、原判決が本件海生丸を刑法一九条一項一号二項により没収したことは違法を免れないが、右違法は刑訴四一一条一号により原判決を破棄しなければ著しく正義に反するものとは認められない〕。

よって刑訴四一四条、三八六条一項三号、一八一条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 島 保 裁判官 河村又介 裁判官 垂水克己)

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