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最高裁判所第三小法廷 昭和29年(さ)1号 判決 1954年4月13日

本籍並びに住居

鹿児島県熊毛郡上屋久村宮之浦二三六番地

農業兼漁業

佐藤英夫

大正一三年一二月六日生

右に対する窃盗、住居侵入、傷害被告事件について昭和二八年九月二一日鹿児島地方裁判所の言渡した確定判決に対し、検事総長から非常上告の申立があつたので、当裁判所は次のとおり判決する。

主文

原判決を破棄する。

被告人を懲役六月及び罰金二万円に処する。

原審における未決勾留日数中三〇日を右懲役刑に算入する。

但し三年間右懲役刑の執行を猶予する。

右罰金を完納することができないときは金四百円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

原審における訴訟費用は被告人の負担とする。

理由

検事総長佐藤藤佐の非常上告趣意について。

原確定判決が、所論のとおり、被告人の第一窃盗、第二住居侵入、第三傷害の各犯行を認定したうえ、第二と第三とは牽連犯として傷害罪の罰金刑によるものとし、刑法二〇四条、罰金等臨時措置法二条、三条その他所論掲記の法条を適用しつつ、懲役六月及び罰金三万円(その余の主文内容所論のとおり)を言渡したものであることは、記録に照し明白である。

しかるに刑法二〇四条、罰金等臨時措置法三条によれば、傷害罪の罰金の多額は二万五千円であるから、原判決が罰金三万円を言渡したのは、刑法二〇四条、罰金等臨時措置法三条の適用を誤り、法定刑を超える罰金刑を言渡した違法があるものといわなければならない。そして原判決は明らかに被告人のため不利益であるから、刑訴四五八条一号但書により、原判決を破棄して、被告事件につき更に判決をなすべきものである。よつて原判決の確定した第一の事実につき刑法二三五条、第二の事実につき同法一三〇条(罰金等臨時措置法三条)、第三の事実につき同法二〇四条(罰金等臨時措置法三条)を適用し、第二と第三とは牽連犯であるから、同法五四条一項後段、一〇条により重い傷害罪の刑により、罰金刑を選択し、以上について同法四五条前段、四八条一項を適用したうえ、被告人を懲役六月及び罰金二万円に処すべきものとし、さらに同法二一条、二五条、一八条、刑訴一八一条を適用して、裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

本件公判には検察官安平政吉が出席した。

(裁判長裁判官 井上登 裁判官 島保 裁判官 河村又介 裁判官 小林俊三 裁判官 本村善太郎)

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