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最高裁判所第三小法廷 昭和27年(あ)6571号 決定 1955年4月26日

本籍並びに住居

大阪市大正区泉尾松ノ町五丁目五番地

銑鉄鋳造業

三好清

大正六年三月一五日生

右関税法違反被告事件について昭和二七年一〇月六日高松高等裁判所の言渡した判決に対し被告人から上告の申立があつたので当裁判所は次のとおり決定する。

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人広重慶三郎の上告趣意第一点について。

所論は違憲をいうけれども、その実質は単なる法令違反の主張に帰し、刑訴四〇五条の上告理由にあたらない。のみならず、昭和二七年二月六日(同月一一日施行)大蔵省令第五号によつて、昭和二四年大蔵省令第三六号「関税法第百四条、関税定率法第一二条及び屯税法第八条の規定に基き、附属島しよを定める等の省令」の一部が改正された結果、北緯二九度、三〇度の間にある南西諸島中の島が、関税法上外国とみなされる地域から除外されたからといつて、右改正前に成立した、中の島と内地との間の本件関税法上の密輸出入罪の刑が廃止されたものといえないことについては、当裁判所大法廷判決(昭和二七年(あ)四三四号昭和三〇年二月二三日言渡)の趣旨に徴し明らかである。それ故、原判決には所論の違法はない。

同第二点について。

所論は、大審院判例を援用するも、その実質は採証法則違反、事実誤認の主張に帰し、適法な上告理由にあたらない。また、記録を調べても、本件につき刑訴四一一条を適用すべき事由も認められない。

なお、同弁護人の追補上告趣意は、期限後四ケ月以上を経て提出されたものであるから、判断を与えない。

よつて刑訴四一四条三八六条一項三号により主文のとおり決定する。

この裁判は、裁判官河村又介、同小林俊三の少数意見を除き、裁判官全員一致の意見によるものである。

裁判官河村又介、同小林俊三の少数意見は、論旨第一点に対する判示冒頭に掲げた大蔵省令の改正により南西諸島中の島が関税法上外国とみなされる地域から除外されたことによつて、爾後同地域に対する貨物の輸出入行為は犯罪を構成せざるものとなつたのであるから、本件行為に対しては、刑訴四一一条五号にいわゆる「判決があつた後に刑の廃止」のあつたものと解するを相当とするが故に、同条に従い原判決を破棄し、同法三三七条二号を適用して被告人を免訴すべきであるというのであつて、その理由は前記大法廷判決記載の同裁判官等の意見と同趣旨である。

(裁判官 島保 裁判官 河村又介 裁判官 小林俊三 裁判官 本村善太郎 裁判長裁判官井上登は退官のため記名押印できない。裁判官 島保)

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