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最高裁判所第三小法廷 昭和26年(れ)75号 判決 1951年4月24日

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人神田静雄の上告趣意第一点について。

原審公判調書をみると、昭和二五年六月一七日の公判期日において弁護人から中原芙美代を証人として喚問することを申請し、同日原審裁判所はこれが採否の決定を留保したが、同年一一月九日の公判期日においてこれを却下する旨の決定を宣したという記載がある。それ故原判決には所論のような違法はなく、論旨は理由がない。

同第二点について。

原審公判調書によれば、所論の診断書を作成した堀越克己は、昭和二五年一一月九日の公判期日において、同人は昭和二十三年二月二日被害者を診察した結果を同年二月六日附の診断書に記載した旨証言している。このように原審裁判所は審理を尽して右の診断書が二月二日の診察の結果を記載したものであることを確かめた上で、これを措信すべきものとして証拠に採用したのであるから、原判決には、所論のような違法はない。論旨は診察がなされたのは二月六日であるという前提の下に原判決を非難するものであって、いずれの点も採用することができない。

同第三点について。

淫行の経験のない一三才の少女であっても、自己が直接経験した強姦の被害事実について供述する場合にはその事柄について事理を弁える能力がないとは云えないから、その証言が証拠能力を欠くという理由はない。又第一審公判廷における中原芙美代の供述が所論のように誘導訊問に基づくものであるという事実も、認められないから、原判決が第一審公判調書中の同人の供述記載を証拠として採用したことには所論のような違法はない。論旨は結局原審裁判官の自由心証に委ねられている証拠の信憑力の判断を争うものに外ならないから採用することができない。

以上の理由により旧刑訴四四六条に従い主文のとおり判決する。

この判決は裁判官全員一致の意見によるものである。

(裁判長裁判官 長谷川太一郎 裁判官 井上 登 裁判官 島 保 裁判官 河村又介)

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