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最高裁判所第三小法廷 昭和25年(あ)773号 判決 1951年4月17日

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人鍛冶利一の上告趣意は、末尾に添えた書面記載のとおりである。

論旨第二点の刑訴三三五条一項の解釈については、すでに当裁判所の判例として、「第一審判決は証拠の標目を一括挙示しており、従って判文上は証拠と事実との関連性は明らかでないが、記録と照らし合せて見ればどの証拠によってどの事実が認定されたか極めて明白である」場合は刑訴三一七条及び三三五条一項に反するものではないと判示されている(昭和二五年(あ)第一〇六八号昭和二五年九月一九日第三小法廷判決)。そして、本件第一審判決の証拠理由の説示を見ると、右判例にいうように、記録と照し合せて見れば、どの証拠によってどの事実が認定されたか極めて明白である。従って、本件事案としては、第一審判決のような証拠の標目挙示をもって刑訴三三五条一項に違反するものとはいえないばかりでなく当裁判所の判例の趣旨にも反しないものである(論旨引用の大審院及び東京高等裁判所の判決は、当裁判所の前記判決に抵触する限り判例としての効力を失ったものである)。

その他の論旨は、すべて刑訴四〇五条に定められた上告の事由ではなく、また本件は同法四一一条に当る場合とも認められないので同法四〇八条に従い、裁判官全員の一致した意見により主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 長谷川太一郎 裁判官 井上 登 裁判官 島 保 裁判官 河村又介)

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