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最高裁判所第三小法廷 平成6年(行ツ)104号 判決 1996年10月08日

上告人 有限会社美成酪農経営共同農場 ほか一名

被上告人 北海道知事

代理人 山中正登 ほか一名

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人らの負担とする。

理由

上告人らの上告理由について

被上告人大樹町農業委員会が被上告人北海道知事に対してした本件各土地の買受適格証明願書及び農地法三条の規定による許可の申請書の各進達は、行政機関相互間の行為であって、いずれも取消訴訟の対象となる処分に当たらないから、これらの取消しを求める上告人らの訴えは不適法であって却下を免れないとした原審の判断は、正当として是認することができる。そして、被上告人北海道知事が大樹町農業協同組合に対してした本件各土地の買受適格証明書の交付は、これによって直接国民の権利義務を形成し、又はその範囲を確定することが法律上認められているものではなく、取消訴訟の対象となる処分に当たらないから、その取消しを求める上告人らの訴えは不適法であり、また、本件記録によれば、上告人有限会社美成酪農経営共同農場が被上告人北海道知事のした農地法三条の規定による許可について農林水産大臣に対してした審査請求は、行政不服審査法一四条所定の期間を徒過してされたものであり、上告人都築利夫は右許可について審査請求をしていないから、右許可の取消しを求める上告人らの訴えも不適法である。そうすると、これらの各訴えを不適法として却下すべきものとした原審の判断は、結論において是認することができる。論旨は、独自の見解に立って原判決を論難するものに帰し、採用することができない。

よって、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判官 可部恒雄 園部逸夫 大野正男 千種秀夫 尾崎行信)

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