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最高裁判所第三小法廷 平成2年(行ナ)51号 判決 1990年10月16日

富山市海岸通三番地

三菱レーヨンアパート東B棟三〇三号

再審原告

田島一郎

富山市丸の内一丁目五番一三号

再審被告

富山税務署長 川岸健

右当事者間の平成二年行ツ第五五号所得税課税処分取消請求事件について、当裁判所が平成二年七月一七日言い渡した判決に対し、再審原告から再審の申立があった。よって、当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件再審の訴えを却下する。

再審費用は再審原告の負担とする。

理由

本件再審の訴えは、前文記載の判決に民訴法四二〇条一項九号に該当する事由のあることを主張するものとは認められないから、不適法であって却下を免れない。

よって、行政事件訴訟法七条、民訴法四二三条、三九九条ノ三、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 園部逸夫 裁判官 佐藤庄市郎 裁判官 可部恒雄)

平成二年(行ツ)第五五号

再審の訴状

判決言渡日 平成二年七月一七日

判決書到達日 平成二年七月一九日

富山市海岸通三番地 三菱レーヨンアパート東B棟三〇三号

再審の訴人(上告人) 田島一郎

富山市丸の内一丁目五番一三号

再審の被訴人(被上告人)富山税務署長 田畑勤

右指定代理人 福永敏和

所得税課税処分取消し請求事件

首題の件につき最高裁判所が下した判決は全部不服であるので、民事訴訟法第四二〇条第一項第九号により再審の訴えを提起する。

一、判決の表示

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

二、再審の訴えの趣旨

本件判決を取り消す。

被上告人が上告人に対して行った所得税課税処分を取り消す。

一審、二審及び三審の訴訟費用は被上告人の負担とする。

三、再審の訴えの理由

1 本件判決は民事訴訟法第四〇一条により、口頭弁論を経ないで下されたが、この第四〇一条は旧憲法時代の置物であった、現憲法への移行の時、当然改正すべきであったが、そのまま現存している悪法であるから濫りに適用すべきでない。特に本件裁判の如く国民の権利が問題になっている場合は、絶対適用すべきでないことは憲法第八二条第二項但書によって明らかである。

最高裁判所がこの条文を濫用して、密室裁判によって門前ばらい的な判決を下した真意は何であるか疑問を抱かざるを得ない。

2 最高裁判所が上告人が取得した本件保険金は所得税法第九条第一項第二一号及び、所得税法施行令第三〇条第一号所定の非課税所得には該当せず同法第三四条第一項所定の一時所得として課税の対象となるとした原審の判断は正当として是認すると断定しているが、その理由については何等説明していないのは最高の法律の番人として甚だ不勉強であり、又不見識であると非難されるべきである。

第一審の判決は違法であるので、これを全面的に支持した最高裁判所の判決も違法である。

3 最高裁判所は国の主権者である国民のためにあることはいうまでもないが、その裁判所が上告人の主張に全く耳を傾けることもなく、国民の奉仕者にすぎない被上告人の甚だ非論理的であり、又極めて社会通念に反するのみならず、法の趣旨や精神を全く理解しない主張を全面的に支持し、被上告人に軍配をあげたことは全く憤激に堪えないところである。

右の理由により原判決は違法であるので、これを取り消すとともに被上告人が上告人に対して行った所得税の課税処分の取消しを求めて再審の訴えを提起する。

平成二年八月八日

再審の訴人(上告人) 田島一郎<印>

最高裁判所第三小法廷 御中

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