大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第一小法廷 昭和56年(オ)466号 判決 1983年5月26日

上告人

岡村榮七

右訴訟代理人

安田進

被上告人

長橋敏夫

被上告人

長橋栄太郎

右両名法定代理人親権者

長橋紀美子

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人安田進の上告理由について

記録によれば、所論の鑑定結果については、原審第一二回口頭弁論期日において、上告人からその結果の陳述があり、原審の心証形成のための資料に供されたこと、同第一三回口頭弁論期日において、上告人が右鑑定結果を援用しない旨陳述したことが明らかである。ところで、一たん受訴裁判所の心証形成の資料に供された証拠については、その証拠の申出を撤回することは許されず、また、裁判所は右証拠がその申出をした者にとつて有利であるか否かにかかわらず当事者双方に共通する証拠としてその価値の判断をしなければならないものであつて、原審が右鑑定結果を証拠として事実認定をしたことに所論の違法はないというべきである。論旨は、採用することができない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(団藤重光 藤﨑萬里 中村治朗 谷口正孝 和田誠一)

上告代理人安田進の上告理由<省略>

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例