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最高裁判所第一小法廷 昭和53年(行ツ)139号 判決 1980年12月04日

上告人 加藤庄一

被上告人 西税務署長

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告人の上告理由について

原審が適法に確定したところによれば、(1) 被上告人は、訴外丸善鋼材株式会社(以下「訴外会社」という。)に対し、(イ)昭和三九年三月三一日、訴外会社の昭和三三年一一月七日から昭和三八年三月三一日までの五事業年度の各法人税につき、更正、過少申告加算税、重加算税の賦課決定、(ロ)昭和三九年四月三〇日、訴外会社が昭和三四年から昭和三八年までの各五月支払にかかる給与につき、源泉徴収すべき所得税の納税告知、源泉徴収加算税、不納付加算税の賦課決定、(ハ)昭和三九年三月三〇日、青色申告書提出承認の取消の各処分をした、(2) その後大阪国税局長は、昭和四一年四月八日右(イ)(ロ)の処分(以下「本件課税処分等」という。)に基づき滞納処分として訴外会社が上告人に対して五六〇万円余の不当利得返還請求権を有するとして、これを差し押え、さらに、国は、上告人に対し右差押債権の取立訴訟を提起し、確定判決を得た、(3) 上告人は、右訴訟において本訴におけると同様の理由で本件課税処分の無効を主張して終始これを争い、この点についてもすでに裁判所の審理、判断を受けた、というのである。

上告人は、本件課税処分等を受けた者ではないから、右課税処分等の無効確認を求めるについては特段の法律上の利益があることを主張立証しなければならないところ、上告人が本件において右の利益として主張するところは、前記のように訴外会社の上告人に対して有する債権が差し押えられ、取立訴訟が提起され、かつ、上告人の財産につき仮差押を受け、さらにそれが本執行に移るおそれがある、というのである。しかしながら、右債権差押処分に基づく債権取立訴訟については前記のとおりすでに判決が確定しており、また、上告人の財産に対する仮差押はいずれ本執行に移行すべきものであるところ、本執行は上記確定判決を債務名義としてされるものであつて、もはや本件課税処分等の効力とは無関係であるから、上告人主張の諸事実は、いずれも上告人の本訴請求についての訴の利益を基礎づけるものということはできない。所論引用の当裁判所の判例は、事案を異にし、本件に適切でない。そうすると、他に訴の利益について特段の主張のない本件において、上告人の訴を不適法として却下した原審の判断は、結局正当として是認することができる。論旨は、採用することができない。

よって、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判官 藤崎萬里 団藤重光 本山亨 中村治朗 谷口正孝)

上告理由<省略>

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