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最高裁判所第一小法廷 昭和43年(オ)988号 判決 1971年2月18日

主文

原判決を破棄し、第一審判決を取り消す。

本件を東京地方裁判所に差し戻す。

理由

上告代理人下光軍二、同上田幸夫、同上山裕明、同石川恵美子の上告理由第一点について。

本件記録によれば、第一審判決は、上告人らの本訴は、上告人らにおいて当事者適格を有しないから不適法であるとしてこれを全部却下し、原判決は、上告人らの本訴請求の理由の有無はともかくとして、上告人らが当事者適格を欠くとなすべき理由はなく、したがつて、第一審判決は誤りであるとしながら、本案について証拠調をしたうえ、上告人らの請求は理由がないのでこれを認容することができないところ、第一審判決が上告人らに当事者適格がないとして上告人らの本訴を却下したことは失当であるが、請求棄却の本案判決は訴却下の判決よりも原告である上告人らにとつて不利益な判決であり、控訴裁判所は上告人らの変更を求める第一審判決よりも不利益な判決をすることができないから、本件においては、結局控訴棄却の判決をするほかないというべきであるとして、上告人らの控訴全部を棄却したことが明らかである。

しかし、上告人らに当事者適格がないことを理由とする第一審判決は、本案そのものの当否についてはなんらの審理判断も加えていないのであるから、原判決は右の点において民訴法三八八条に違反するものというべきで(当裁判所昭和三五年(オ)第一二三号同三七年一二月二五日第三小法廷判決民集一六巻一二号二四六五頁参照)、論旨は理由があるから、原判決を破棄し、かつ、第一審判決を取り消すべきものである。

よつて、その余の論旨に対する判断を省略し、本件を東京地方裁判所に差し戻すこととし、民訴法四〇八条、三九六条、三八六条、三八八条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 長部謹吾 裁判官 岩田 誠 裁判官 大隅健一郎 裁判官 藤林益三)

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