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最高裁判所第一小法廷 昭和37年(オ)358号 判決 1962年10月11日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人和田吉三郎の上告理由第一点について。

しかし、原判示の場合、朱色鉛筆を使用することによつて、あるいは所論の如き不正が行なわれるおそれがないとはいえないが、その故を以て所論投票を無効としなければならない理由は公職選挙法の下においては見出せない。

なお、原判決は、本件投票が所論強迫の結果によるものであるとの確証を得られないとの一事を以て、上告人の主張を排斥した趣旨とは解し難いから、この点に関する所論は原判決を正解しないによるものであつて、採るを得ない。

同第二点について。

しかし、裁判所は、当事者の申し出た証拠をすべて取り調べなければならぬものではないから、論旨は採るを得ない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 高木常七 裁判官 入江俊郎 裁判官 下飯坂潤夫 裁判官 斉藤朔郎)

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