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最高裁判所第一小法廷 昭和37年(オ)1203号 判決 1965年7月08日

上告人

榊原金一郎

代理人

森田久治郎

被上告人

渡辺小梅

被上告人

渡辺一郎

右両名代理人

大脇松太郎

大脇保彦

主文

被上告人渡辺小梅に対する上告を却下する。

被上告人渡辺一郎に関する部分につき、原判決を破棄し、第一審判決を取り消す。

同被上告人の訴を却下する。

訴訟費用のうち、上告人と被上告人渡辺一郎との間に生じたものは全部同被上告人の負担とし、被上告人渡辺小梅に対する上告費用は上告人の負担とする。

理由

被上告人渡辺小梅に対する上告について。

職権によつて調査するに、同被上告人の上告人に対する請求は、原判決において、全部棄却されているから、同被上告人に対する上告は、上訴の利益がないものというべく、却下を免れない。

被上告人渡辺一郎に対する上告について。

職権によつて調査するに、同被上告人の本件訴は、抵当権の不存在を理由として、競売法による競売手続(以下任意競売という)に対する請求異議の訴である。任意競売に対する不服申立方法については、競売法に規定がないから、その性質に反しないかぎり、民訴法の強制執行に関する規定を準用すべきものである。しかし、民訴法五四五条のいわゆる請求異議の訴は、債務名義の存在を前提として、その執行力の排除を目的とする訴であるから、債務名義の存在しない任意競売には準用することができないと解するのが相当である(昭和六年一一月一八日大審院判決、民集一〇巻一〇六二頁の見解は、当裁判所の採用しないところである)。したがつて、同被上告人の本訴は不適法として却下されるべきであり、本訴について本案の判断をした第一、二審判決は取消、破棄を免れない。

よつて、民訴法三九九条ノ三、三九九条一項一号、四〇八条、三八六条、九五条、九六条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。(横田喜三郎 入江俊郎 長部謹吾 松田二郎 岩田誠)

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