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最高裁判所第一小法廷 昭和30年(あ)2327号 決定 1956年3月29日

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人永宗明の上告趣意は事実誤認、単なる法令違反の主張であって、刑訴四〇五条の上告理由に当らない(本件のごとき接客婦と接客業者との関係が、職業安定法五条にいわゆる「雇用関係」に該当するものであることは、当裁判所の判例とするところであり--判例集六巻一一号一三一九頁、八巻三号二四〇頁--今これを改める必要は認められない。また労働基準法六条にいわゆる「他人の就業に介入し」とは、同法八条の労働関係の当事者間に第三者が介在して、その労働関係の開始、存続等について媒介又は周旋をなす等その労働関係について、何らかの因果関係を有する関与をなす場合をいい、所論のように民法上の雇傭契約が成立する場合だけに関与することに限るべきでないと解するを相当とする。)。

よって同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 入江俊郎 裁判官 真野毅 裁判官 斎藤悠輔 裁判官 岩松三郎)

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