大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第一小法廷 昭和28年(オ)967号 判決 1955年1月27日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

論旨第一点は、単なる法令違反の主張であり、同第二点は事実誤認を前提とする法令違反の主張に外ならず、すべて「最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関する法律」(昭和二五年五月四日法律一三八号)一号乃至三号のいずれにも該当せず、又同法にいわゆる「法令の解釈に関する重要な主張を含む」ものと認められない。(鉄道運輸規程五〇条、連絡運輸規則一〇八条二項等の規定が商法五七〇条に対する特別規定であることは所論のとおりであるが、この規定は多数の貨物運送を取扱う鉄道業者のために一々運送状を請求する煩を免れしめる趣旨のものたるに過ぎないのである。すなわち荷送人は運送人たる鉄道業者の請求を待つまでもなく法定の運送状を提出して鉄道運送の申込をなすべく、鉄道業者はかかる運送状の提出がなければ運送の引受を拒否することができることとしたに止まる。さればかかる特別規定があるからというて鉄道による貨物の運送契約は荷送人において法定の運送状を提出しなければ成立しない、いわゆる要式契約であると断定することはできないのであつて、もとより鉄道業者がかかる運送状の提出なきに拘らず任意運送の申込を受諾することを妨げるものではない。それ故所論原判旨は正当であつて何等の違法もない。)

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 岩松三郎 裁判官 真野毅 裁判官 斉藤悠輔 裁判官 入江俊郎)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例