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最高裁判所第一小法廷 昭和25年(オ)377号 判決 1952年12月04日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人川井正進の上告理由第一点乃至第四点について。

原審が適法に確定した事実の要旨は、「被上告人は昭和二三年三月三一日訴外西依勇の依頼に応じ、同人に金七万円を貸与することとし、乙第一号証の借用証書を作成捺印を求め……同年四月一三日、右訴外人に対し金七万円を交付し、その頃右訴外人に自己の委任状を交付して本件抵当権設定の登記手続方を一任し、これに基づいて同月三〇日右消費貸借の債務を担保するため本物件に対し、債権者、被上告人、債務者、右訴外人間の同年三月三一日附契約による債権額七万円等とする消費貸借による債務のため抵当権の設定登記がなされた」というのである。そして論旨第一点乃至第四点は、結局、右抵当権設定登記は、被担保債権の発生原因である消費貸借が昭和二三年四月一三日成立したものであるに拘わらず、右消費貸借が同年三月三一日成立したものとしてなされたものであるから、少くとも第三者たる上告人に対する関係においては存在しない債権に対する抵当権設定として無効であるというに帰着する。併し原審は被上告人と前記訴外人との間に同年四月一三日成立した七万円の消費貸借は、抵当権設定登記に表示されている同年三月三一日附の消費貸借と同一性を欠くものでないことを認定しており、その認定は、原判決が証拠に基づき適法に確定した本件消費貸借成立の経緯に照し是認できるから、右消費貸借成立後である同年四月三〇日になされた前記抵当権設定登記において、右消費貸借成立の日時が同年三月三一日と表示されているからといつて右消費貸借に基づく債権は上告人に対する関係においても、その存在は否定せらるべきでなく、従つてこれがため形式的にも実質的にも右抵当権設定登記の効力を妨げないものであり、この点に関する原判示は相当であつて、第一点引用の大審院判例は何れも本件に適切でなく、第一点の論旨は判例違反の主張にも当らない。又右原判示は第二、三点所論の上告人の主張についてもこれを理由なきものと判断しているものと認められないことはなく、又右判断は相当であるから、第二、三点も亦理由がない。第三点引用の判例も本件に適切でない。第四点は独自の見解により右の原判示を非難するにすぎないものであるから、これまた採用し難い。

同第五点について。

所論原判示は相当であつて、今なおこれを変更すべき理由を見出さない。

所論は、憲法違反ともいつているが結局独自の見解に基づく原判示の非難に帰し採用できない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に則り、裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 斉藤悠輔 裁判官 真野毅 裁判官 岩松三郎 裁判官 人江俊郎)

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