大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第一小法廷 昭和25年(れ)653号 判決 1950年7月06日

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人海野普吉、同位田亮次の上告趣意第一点について。

しかし、原判決が証拠説明中に掲げた所論「公判請求書の公訴事実中判示同旨の記載」とあるのは、これを被告人等が積極的にその通り相違ない旨認めた供述記載の内容を具体的に明らかにするため親切に掲げたまでのことであって、これを独立の証拠として挙げたものでないこと判文上明白であるから、所論は採ることができない。

同第二点について。

しかし、原判決の所論説示は、要するに原判決は第一審第一回公判調書中の被告人等の原判示の脅迫の事実を認めた部分の供述記載のみを証拠とする趣旨であって、原判決は同公判調書並びに公訴事実中には右脅迫の事実の外原判決が証拠として除外した記載も存するがその記載は、原判決の認定した脅迫の事実と矛盾しこれを否定するものではないと認める旨説明してその趣旨を明らかにしたものと解される。そして、同公判調書中の被告人等の供述記載は原判決の引用したと同一趣旨すなわち原判示の脅迫の事実を認めた趣旨であると解することができるから、原判決には所論のように虚無の証拠によって事実を認定した違法は認められない。所論はそれ故採用し難い。

同第三点について。

しかし、原判決の認定した事実は、原判決の適用した刑法二二二条一項の脅迫罪にあたること多言を要しない。されば所論は、独自の見解というべく、賛同し難い。

よって旧刑訴四四六条に従い主文のとおり判決する。

この判決は裁判官全員の一致した意見である。

(裁判長裁判官 齋藤悠輔 裁判官 沢田竹治郎 裁判官 真野 毅 裁判官 岩松三郎)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例