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最高裁判所第一小法廷 昭和25年(あ)279号 判決 1950年7月20日

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人諏訪栄次郎上告趣意第一点について。

所論の第一審判決は、一枚から成っており、それ自体としては契印の必要がない。同判決は、刑訴規則二一八条に基いて起訴状記載の公訴事実を引用したに過ぎないものであって、起訴状自体を同判決書の一部としたものではないから、起訴状に契印があるかどうかの問題は、判決書に契印があるかどうかの問題とは直接関係がない。論旨は、それ故理由がない。

同第二点について。

所論は、原判決の刑事訴訟法手続の違背を責めるもので、刑訴四〇五条の上告理由に該当しない。また、同四一一条の事由も認められない。

弁護人川田政四郎上告趣意について。

所論の供述調書には検察官が予め供述を拒むことができる旨を告げて被疑者(被告人)を取調べたところ、同人は任意に同調書に記載してあるような供述をした上、終りに同調書を読聞かされてその内容に誤りのないことを承認して署名捺印したことが明記されている。ただ所論のごとく問答体に調書が記載されているという一事をもって、その供述が任意性を欠くものということはできない。所論は、全く独自の立場で見解を述べているに過ぎない。論旨は、採るを得ない。

よって刑訴四〇八条に従い主文のとおり判決する。

この判決は裁判官全員の一致した意見である。

(裁判長裁判官 真野 毅 裁判官 沢田竹治郎 裁判官 齋藤悠輔 裁判官 岩松三郎)

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