大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第一小法廷 昭和23年(れ)1141号 判決 1949年1月20日

主文

本件上告を棄却する。

理由

辯護人溝口久太上告趣意について

原判決において刑法第六〇條を適用した旨を判文上明示していないことは所論の通りである。しかし原判決は「被告人は(一)原審相被告人沢田安彦と共謀の上(イ)……窃取し……(三)原審相被告人沢田安彦同吉田弘と共謀の上……窃取し」と判示しているから原判決は第一審相被告人等と被告人とは本件犯行について共謀したことを認定し且共謀に基いて被告人は第一審相被告人等の犯行の見張をしたことを認定し本件犯行を共同正犯であると斷じたものである。從って刑法第六〇條を適用した旨を判文上明示しなくても同條を適用しているものであることは自ら明白であるから原判決には所論のような違法はなく、論旨は理由がない。

よって舊刑訴第四四六條に從い主文のとおり判決する。

この判決は裁判官全員の一致した意見である。

(裁判長裁判官 沢田竹治郎 裁判官 真野 毅 裁判官 齋藤悠輔 裁判官 岩松三郎)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例