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最高裁判所大法廷 昭和24年(れ)1128号 決定 1954年9月08日

主文

本件上告を棄却する。

理由

被告人は旧刑訴四二三条に定める期間内に上告趣意書を提出しない。よって、同法四二七条により、裁判官小谷勝重、同藤田八郎を除く裁判官全員一致の意見により主文のとおり決定する。

裁判官小谷勝重、同藤田八郎の意見は次のとおりである。

被告人白水麓は、原審において、吉野長次郎、辻福助と共に審理を受け同被告人並びに吉野長次郎、辻福助はいずれも鉄砲火薬類取締法施行規則(明治四四年勅令第一六号)二二条所定の者でなく且法令の規定に依らないで、いずれも、昭和二二年二、三月頃、ダイナマイト、雷管、導火線を夫々隠匿所持していたとの事実について鉄砲火薬類取締法施行規則二二条、四五条にあたるものとして、同一の判決により有罪の言渡を受け、これに対しいずれも当裁判所に上告を申立てたものである。

ところが右吉野長次郎、並びに辻福助は法定期間内に、上告趣意書を提出し右鉄砲火薬類取締法施行規則は、既にその効力を失ったものであると主張し、当裁判所は右吉野長次郎、辻福助に対しては、右鉄砲火薬類取締法施行規則二二条に対する処罰規定である同規則四五条は、昭和二二年一二月三一日限り国法としての効力を失ったものであって、右上告論旨は理由ありとして、右両名に対しては原判決を破棄し、免訴の判決を言渡したのである(昭和二四年(れ)一一二八号、同二九年九月八日言渡大法廷判決)。

してみれば被告人白水麓の前記鉄砲火薬類取締法施行規則違反の所為に対する右規則四五条が昭和二二年一二月三一日限り国法としての効力を失ったことは、前記のとおりであって、右吉野長次郎、辻福助に対する原判決破棄の理由は、旧刑訴四五一条にいわゆる共同被告人である被告人白水麓に対しても「共通」であるものと解すべきであるから、被告人白水麓に対しても原判決を破棄し免訴の言渡をなすべきものである(昭和二三年(れ)第一五四一号同二七年一一月五日言渡大法廷決定の少数意見参照。)

(裁判長裁判官 田中耕太郎 裁判官 沢田竹治郎 裁判官 霜山精一 裁判官 井上 登 裁判官 栗山 茂 裁判官 真野 毅 裁判官 小谷勝重 裁判官 島 保 裁判官 斎藤悠輔 裁判官 藤田八郎 裁判官 岩松三郎 裁判官 河村又介 裁判官 谷村唯一郎 裁判官 小林俊三 裁判官 本村善太郎)

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