大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

徳島地方裁判所 平成5年(わ)90号 判決 1993年8月02日

本店所在地

徳島県阿波郡市場町大字尾開字八坂六二番地一

(変更前の商号 樫原建材工業株式会社)

株式会社

カシハラ

(右代表者代表取締役 樫原聖二)

本籍

同町大字香美字原田一〇五番地の三

住居

同所

会社役員

樫原賢二

昭和一九年九月二五日生

右両名に対する法人税法違反各被告事件について、当裁判所は、検察官小畑勝義出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人株式会社カシハラを罰金一九〇〇万円に、被告人樫原賢二を懲役一年にそれぞれ処する。

被告人樫原賢二に対し、この裁判の確定した日から三年間その刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人株式会社カシハラ(平成五年四月一日変更前の商号、樫原建材工業株式会社は、以下「被告会社」という。)は、徳島県阿波郡市場町大字尾開字八坂六二番地一に本店を置き、土木建築資材の販売や生コンクリートの製造販売等を営む資本金一〇〇〇万円の株式会社であり、被告人樫原賢二(以下「被告人」という。)は被告会社の取締役として被告会社の業務全般を統括していたものであるが、被告人は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、材料仕入の水増し計上、架空労務費等を計上するとともに売上を除外するなどして得た資金を簿外預金に蓄積するなどの方法で所得を秘匿し、

第一  昭和六三年九月一日から平成元年八月三一日までの事業年度における被告会社の所得金額が三〇四四万八三一円であり、これに対する正規の法人税額が一一八二万一六〇〇円であるにもかかわらず、平成元年一〇月三一日、徳島県麻植郡川島町大字宮島七四七番地の二所在の川島税務署において、同税務署長に対し、所得金額が五四五万五八七〇円であり、これに対する法人税額が一六三万三三〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、右事業年度における正規の法人税額と右申告税額との差額一〇一八万八三〇〇円を免れ

第二  平成元年九月一日から平成二年八月三一日までの事業年度における被告会社の所得金額が六七〇五万五七〇八円であり、これに対する正規の法人税額が二五九〇万六六〇〇円であるにもかかわらず、平成二年一〇月三〇日、前記川島税務署において、同税務署長に対し、所得金額が三三万六六五三円であり、これに対する法人税額が六万二一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、右事業年度における正規の法人税額と右申告税額との差額二五八四万四五〇〇円を免れ

第三  平成二年九月一日から平成三年八月三一日までの事業年度における被告会社の所得金額が一億四五三万七七九六円であり、これに対する正規の法人税額が三八三九万二一〇〇円であるにもかかわらず、平成三年一〇月三〇日、前記川島税務署において、同税務署長に対し、所得金額が三〇八万九九六七円であり、これに対する法人税額が八一万五七〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、右事業年度における正規の法人税額と右申告税額との差額三七五七万六四〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

以下、( )内の番号は、各書証の始めの頁の欄外に証拠等関係カードの番号(請求者等検察官)として記載されたものである。

判示事実全部について

一  被告会社代表者及び被告人の当公判廷における各供述

一  被告人の検察官に対する供述調書

一  被告人作成の上申書

一  樋口道代、元木明彦及び妹尾常幸の検察官に対する供述調書

一  大蔵事務官の被告人に対する質問てん末書二〇通

一  大蔵事務官の樋口道代(五通)、本庄啓子、船越淑子、中尾瀬市、岡本学、稲井照男、福井公、樫原洋子(47)、瀬野剛毎、内田恵美子、尾田博、木村明美および後藤田浩に対する各質問てん末書

一  検察事務官作成の捜査報告書(5)

一  大蔵事務官作成の領置てん末書、売上調査書、材料仕入1調査書、労務費調査書、賞与手当調査書、給料手当調査書、事業税調査書及び会長勘定(貸付金)調査書

一  登記官作成の商業登記簿謄本二通

判示第一及び第二の各事実について

一  西渕賀子の検察官に対する供述調書

一  大蔵事務官の尾池好子及び岡本芳子に対する各質問てん末書

一  大蔵事務官作成のリース費調査書

一  検察官作成の捜査報告書

判示第一及び第三の各事実について

一  大蔵事務官作成の運賃調査書

判示第一の事実について

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(2)

一  押収してある法人税確定申告書一通(平成五年押第二一号の一)

判示第二及び第三の各事実について

一  大蔵事務官作成の消耗品費調査書及び減価償却超過額調査書

判示第二の事実について

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(3)及び支払利息調査書

一  押収してある法人税確定申告書一通(前同号の二)

判示第三の事実について

一  大蔵事務官の笠井孝夫に対する質問てん末書

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(4)

一  押収してある法人税確定申告書一通(前同号の三)

(法令の適用)

一  罰条

(一)  被告会社

いずれも法人税法一六四条一項、一五九条一項、二項

(二)  被告人

いずれも法人税法一五九条一項

一  刑種の選択 被告人につきいずれも懲役刑を選択

一  併合罪の処理

(一)  被告会社

刑法四五条前段、四八条二項

(二)  被告人

刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の最も重い判示第三の罪の刑に加重)

一  執行猶予 被告人につき刑法二五条一項

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 白石史子)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例